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鳥羽・海藻文化革命 岩尾博士の海藻博物記 vol.32

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三重県鳥羽市

~ヒジキ養殖の話~

研究所ではヒジキ養殖の試験を行っている。ヒジキ養殖をしたいとの声はよくいただくので、試験を10年以上前から小規模だが続けているが、使える技術にできていない。
国内で流通しているヒジキの8割程度は中国や韓国産の輸入品であるが、国内産への需要は高い。しかしながら、天然のヒジキ場の減少、生長のタイミングの変化、付着生物が多い低品質品の増加などにより国産ヒジキの生産量は増えていかないという現状がある。三重県でもヒジキが激減している。鳥羽市沿岸は今のところ高品質なヒジキが多く生えているが、生長や品質が不安定になり水揚げ量も一定しないことが増えてきた。
研究所で漁師さんにも協力してもらいながら取り組んでいる方法は、6~7月にヒジキのタネ(受精卵)を採取し、これをロープやテープなどに付着させて水槽で種苗に生長させた後、海面養殖で生長させる、あるいは、タネを大きな水槽で培養して、少し大きくなったものをロープに挟み込むという単純なものだ。とにかく、養殖をするなら夏に採取したタネを翌春までに大きくしたいのだが、夏の間に基質から脱落したり、雑海藻に巻かれて枯れたりする。また、海に出すと、生長は良いが、マガキやフジツボが付いてヒジキが育たなくなるということを10年繰り返している。他県での試験を見学させてもらった際、少なくとも初期生長段階ではこの方法(厳密に言うと少し違うのだが)で成功していたからだが、昨年からは干出を取り入れ、初期の培養水温などを見直すことにした。今のところはなんとか枯らさずに生長させることに成功している。鳥羽の海ならではの方法があるのかもしれない。

問合せ:水産研究所
【電話】25-3316

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