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《特集》一度は見てほしい!秋彩る3つの伝統行事(1)

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京都府京田辺市

歴史のある京田辺には、地元で大切に受け継がれてきた伝統行事があります。今号では、10月に行われる市指定の3つの無形民俗文化財を紹介します。

問合せ先:文化・スポーツ振興課
【電話】64・1300

■〔瑞饋神輿(ずいきみこし)〕30種類の野菜・穀物で飾り付け
~今年は巡行の年~
10月に田辺地域にある棚倉孫(たなくらひこ)神社の秋祭で2年に一度、繰り出されるずいき神輿。同神輿の巡行は、昭和6年に一度途絶えましたが、昭和51年、氏子が中心となり結成した瑞饋神輿保存会によって45年ぶりに復活しました。
神輿は約30種類ほどの野菜や穀物、乾物で飾り付けられ、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈願します。当日は、氏子ら約20人が神輿を担ぎ、境内から急な坂を経て運び出した後、子どもたちが太鼓を鳴らしながら市内を巡行します。昭和53年、田辺町(現京田辺市)無形民俗文化財に指定されました。
・屋根に赤ずいき、鳥居に青ずいき、壁に大豆・インゲン豆・玄米・小豆、頂上の鳳凰(ほうおう)にナタ豆や千日紅の花、そのほか、赤・青トウガラシ、赤ナス、キンカン、菊の花など地元産の農作物で色鮮やかに飾り付けられます。

日時:10月8日(日)午後1時から巡行
場所:棚倉孫神社
公共交通機関で来場してください。

◆〔Interview〕伝統の守り人
瑞饋神輿保存会 制作者の会 会員 西川治さん(75)
趣味は園芸と卓球で、シルバー卓球同好会に所属しているほか、月1回のペースで、ゴルフで汗を流しています。

~きめ細かさを間近で感じて~
◇制作に関わることになったきっかけは
棚倉孫神社の総代になった時に、ずいき神輿の制作現場を見て面白いと感じたことがきっかけで、作り手になって10年になります。神輿の制作は、保存会制作者の会のメンバーが中心となり、9月中旬から約10人で作っています。

◇工夫していることは
巡行の日に最も見栄えの良いものをお披露目できるよう、飾り付け作業のタイミングに気を遣っています。作業はまず、日持ちする穀物類から行います。米・麦・豆などを1粒ずつ神輿の壁面に丁寧に貼り付けていきますが、一週間連続で行う作業なので、かなりの根気がいります。野菜類は劣化が早いので、巡行の4日前から集中的に行い、一気に仕上げます。
また、巡行する神輿は隔年で制作していますが、技術の継承のために、一回り小さい子ども神輿を毎年制作しています。これまでは手順書がなく、口承で技術をつないでいましたが、誰でも制作できるようにするため、作業工程を写真で残して記録するようにしています。

◇うれしいことは
本神輿は、平成2年に開かれた花の万博をはじめ、国際的なイベントにも何度か出展するなど、京都を代表する貴重な文化財です。生まれ育った地元に残る素晴らしい伝統に携わっていることに誇りを感じています。

◇市民へのメッセージ
遠目からは分かりにくいですが、神輿の壁には穀物などが隙間なくぎっしり敷き詰められています。一度実物を間近で見て、きめ細かさと野菜が生み出す鮮やかな彩りを体感してみてください。

◆ずいき神輿ができるまで
・穀物類は、ピンセットやつまようじを使って一粒ずつ丁寧に貼り付けます。
・神輿の名前の由来でもあるずいきを屋根に敷き詰めます。
・写真左(本紙3ページ参照)は子ども神輿。隔年制作される写真右(本紙3ページ参照)の神輿は、巡行後、境内で展示されます。

◆戦前のずいき神輿
94年前(昭和4年)の秋祭で奉納されたずいき神輿と制作者の皆さん(本紙3ページの写真参照)。作り手は子から孫へと引き継がれています。(棚倉孫神社提供)

◆豆知識 ずいきとは
里芋の葉柄(ようへい)のことで、植物の葉と茎をつなぐ柄状の部分のことをいいます。

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