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自治体の皆さまへ

相楽医師会から市民の皆さんへ シリーズ健康エッセイ vol.123

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京都府木津川市

◆手の震え
中島整形外科 中島 慎一郎 医師
手の震え(振戦)を訴えて、整形外科を受診される患者さんがいます。首が悪いのではと心配する人が多いですが、頚椎が原因で手が震えることはほとんどありません。誰にでも起こる一時的な生理的振戦や、画像検査、血液検査などで原因が特定できない本態性振戦の人が多いです。
パーキンソン病では安静時に震えが起こります。安静時に起こる振戦は、パーキンソン病にかなり特徴的な症状です。甲状腺機能亢進症やアルコール依存症でも震えが生じることがあります。喘息やうつ病の薬剤が原因になる振戦もあります。また、不安や緊張などで過呼吸状態になる過換気症候群という病気がありますが、過呼吸により血液がアルカリ性に傾くことで血管の収縮が起き、手足のしびれや筋肉のけいれん・収縮が起こります。過換気症候群は10~20歳代の若い女性に多くみられるので、若い女性が手足のしびれや震えを訴えて受診されたときは、過喚気症候群も念頭に置いて診察しています。
首の骨(頚椎)が加齢などで悪くなると、頚部の痛みに加えて、神経根症状や脊髄症状が出現することがあります。頚椎の中は脳から繋がった脊髄が通っており、脊髄から上肢に向かって神経根と呼ばれる神経が分岐しています。加齢によって生じた骨の棘などで神経根が圧迫されると、上肢の痛みや場合によっては限局された筋力低下が出現します。脊髄が圧迫されると「うまく歩けない」「手足がしびれる」などの脊髄症状が出現します。脊髄症状には「うまくハシが使えない」「うまく字が書けない」など巧緻運動障害といわれる症状もありますが、手の震えはこのような巧緻運動障害とは異なった症状です。
手の震えが心配なときは、まず脳神経内科を受診して、専門の先生の診察を受けることをお勧めします。

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