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シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介(70)

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京都府福知山市

■「失敗作の須恵器」
夜久野町化石・郷土資料館蔵

夜久野町末・日置・高内に分布する末窯跡群(すえかまあとぐん)は7世紀前半から10世紀にかけて操業し、総数140基以上を数える京都府内有数の須恵器生産の窯跡です。
須恵器は、あな窯というトンネル状の窯の中で焼き上げた灰色を呈した硬質の土器です。大量の薪を用いて一気に焼き上げますが、中には失敗してしまうものもあり、こういった失敗作の多くは窯の焚口となる下部付近に廃棄されます。
末窯跡群における廃棄された失敗作を見ると、形が歪んだもの、ひびが入ってしまったもの、割れてしまったものなどがあるほか、写真(1)(本紙参照)のように重ねて焼いた須恵器同士がくっついてしまい外れなくなってしまったものや、写真(2)(本紙参照)のように窯壁(ようへき)の粘土が付着してしまった須恵器の蓋(ふた)などもあります。
いずれにしても当時は製品として出荷できず生産者にとっては残念な須恵器ではありますが、後世においては廃棄されたこれらの失敗作はどのような須恵器がいつ生産されていたのかを知る大きな手掛かりとなります。末窯跡群では、壺、甕、杯、椀、皿、瓦が生産されていたことが分かっており、特に皿の生産量が多いことが指摘されています。また、写真(1)(本紙参照)のように土器を重ねて焼いていた当時の様子などもわかり、廃棄された失敗作からは様々な情報を読み取ることができます。
夜久野町化石・郷土資料館では、末窯跡群から出土した失敗作の須恵器を多数展示しております。ぜひご覧いただき、古代人の須恵器づくりへの思いを感じていただければと思います。

問合せ:文化・スポーツ振興課
【電話】24-7065【FAX】23-6537

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