文字サイズ
自治体の皆さまへ

誰ひとり取り残さない防災の実現に向けて「地域と守る命」(1)

1/42

京都府福知山市

平成26年(2014)8月、本市は観測史上最大の24時間降雨量303・5mmを記録した大水害に見舞われました。かつてない規模の内水被害や土砂災害によって浸水・倒壊被害に遭った家屋は4500軒。降り続いた大雨は、私たちの平穏な毎日を一晩にして奪い去っていきました。
それからも、平成29年(2017)の台風21号や、平成30年(2018) 7月豪雨による甚大な被害を経験した福知山。もしも明日、大きな災害が起こったら、あなたは、いつ、だれと、どのような行動をとりますか。
今月号では、地域で「誰ひとり取り残さない防災」に取り組む人々を紹介します。降雨量が多くなる出水期を前に、改めてあなたとあなたの大切な人の命を守るための避難行動について考えてみませんか。

■裏山が崩れるかも…
不安は現実に荒木地域に暮らす荒木佐都子(あらきさとこ)さんは、平成26年8月豪雨での経験をこう振り返ります。
「あの夜は自宅の裏山が崩れるかもしれないと思って、裏山から一番遠い部屋で寝ていました」
足が動かしづらい荒木さんにとって、自宅から数百メートル離れた避難所への移動はとても困難なものでした。
「夕方にブレーカーが落ちて、近所の家に避難しようと思っても水が浸いて行けへんのです」
その後、不安は現実に。自宅の裏山は崩れ、土砂は家の外壁まで押し寄せていました。

■災害をきっかけに自主防災組織を設立
「命が一番。そう改めて思うほどの怖さがあった」
荒木自治会長の井上良延(いのうえりょうえん)さんは当時の被害を、過去に経験したことのない規模だったと話します。
荒木地域では7か所で土砂崩れが発生。他の地域につながるすべての道路が分断され、集落は完全に孤立しました。
他の地域の力を借り、道路の復旧にかかった時間は1週間。
「助けてもらうだけじゃあかん。他人任せではなく、地元でも災害への認識を高めないと」

平成29年、井上さんは荒木地域の自主防災組織を立ち上げます。
災害での経験を踏まえ、自力で避難できない高齢者がどうすれば避難できるか、市や関係機関と議論を重ねてきました。
令和4年11月には、被害状況や住民の避難行動をより具体的に想定した地域の避難訓練を開催。回覧板を回すだけでなく、高齢者の自宅を個別訪問し参加を呼び掛けたことで、当日は予想を超える多くの人が訓練に参加しました。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU