文字サイズ
自治体の皆さまへ

シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介(68)

36/39

京都府福知山市

■「糸車」
福知山市教育委員会所蔵

人々が生活の中で使用してきた道具を「民具」と呼びます。民具を通して昔の人々の考え方や習慣を見ることができます。
糸車は民具の一種であり、綿や生糸(蚕の吐く糸)を糸にするために使われていました。T字の木製の土台に割竹で作成した回転車を乗せ、そこから伸ばした紐を紡錘(つむ)(軸)に結んだ造りをしています。綿から出た糸の筋や生糸の先端を紡錘の鈎(かぎ)部分に取り付けて、左手でその筋を引き延ばしながら、右手で回転車のハンドルを回すと、紡錘が紐の動きにつられて動きます。写真の糸車(本紙参照)は三和町芦渕の方から寄贈されたもので、紐と紡錘が失われていますが、破損が見られないことから大切に使用されていた様子が分かります。また糸を紡ぎやすいように手前に向かって傾斜が付けられていることも特徴的です。
糸車は、糸をねじり合わせる働きをします。これを糸に撚(よ)りをかけるといい、撚りをかけた糸を撚糸(ねんし)と呼びます。例えば生糸は、繭(まゆ)からほぐし出しただけでは非常に細いため、そのままでは使用できません。しかし生糸を20本程度の束にして撚りをかけることで、糸として使用可能な強度になるのです。また、紡錘は一本の細長い棒状の軸の中央に円形の車が付いた形状をしており、回転力を生じさせやすい工夫もされていました。
糸車は座って使用しますが、この時に土台を膝で押さえて糸車を固定する場合もあり、この糸車もハンドルの下辺りにある傾斜した土台の先端の色が薄くなっています。
今も残る民具は、当時の暮らしを知る貴重な資料です。

問合せ:文化・スポーツ振興課
【電話】24-7065【FAX】23-6537

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU