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[対談]市長 × 次世代の語り部 ~引き揚げの史実を未来へ語り継ぐ~(1)

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京都府舞鶴市

市内には、引き揚げの史実を語り継ぐ活動を続けている人たちがいます。その中でも、学生から20代の若い人たちが次世代の語り部として活動しており、その一人ひとりに語り部になろうと思ったきっかけや思いがあります。今回、内に秘める熱い思いを聞きました。

■10月7日は「舞鶴引き揚げの日」
第二次世界大戦後の昭和20年10月7日に引揚船雲仙丸が舞鶴港に入港。以来、昭和33年9月7日までの13年間にわたり、本市では、海外からの引揚船346隻、引揚者約66万人を温かく迎え入れました。
平成27年には市が所蔵する引き揚げ関連資料が、人類が共有すべき世界的に重要な記録物としてユネスコ世界記憶遺産に登録されています。
このような歴史から平成30年に、将来にわたり引き揚げとシベリア抑留の史実や、戦後の混乱期にも、まちぐるみで真心を込めたおもてなしをした、誇るべきまちの歴史を後世に継承し、恒久平和へのメッセージを世界に発信するため、10月7日を「舞鶴引き揚げの日」と定めています。

■次世代の語り部(以下、語り部)
現在、次世代の語り部は中学生18人、高校生10人、大学生・専門学生4人、社会人1人の33人で活動をしています。

◇市長
語り部になったきっかけは何ですか。

◇語り部
人によって理由はさまざまですが「祖父が語り部をしていてその影響を受けた人」「曽祖父が引き揚げに関わりがあり、関心を持った人」「地元の歴史をもっと知りたいと思った人」「戦争を体験した人が少なくなっている今こそ、語り継いでいくことが大事だと思った人」「語り部をしている先輩に中学校で話を聞き興味を持った人」「小学校のふるさと学習で引き揚げについて学び、興味を持った人」などが語り部として活動をしています。

◇市長
引き揚げがあった当時を経験された人が減っている中で、この史実と平和への願いを発信する役割を将来へ担っていくのは、若い語り部の皆さんであると思っており、非常に頼もしく思います。皆さんの活動内容を教えてください。

◇語り部
語り部の基本的な活動として、来館者に館内の案内や歴史資料の説明などを行っています。これは語り部として重要な活動なので力を入れて頑張っています。来館者がお帰りの際にお礼や励ましの言葉をいただけるとうれしいです。

◇市長
語り部として話をしようと思うと、知識をしっかり身に付けて、来館者の質問にはすべて答えなければいけないと思うかもしれませんが、来館者が何を求めているか、その人の感情に寄り添うというのも大事だと思います。その中で「ありがとう」って言ってもらえるとすごくうれしいですよね。

◇語り部
同世代交流なども行っており、私たちと似た活動をしている福井県の敦賀高校や沖縄県の琉球大学の学生と、リモートや相互訪問を行っています。歴史を知るだけでなくガイドの方法や、相手に伝えやすい話し方など教科書だけでは分からない、実際に触れるからこそ学べることなど、とても貴重な経験ができました。

◇市長
各地域の歴史も、それは必ず関係性があり別物ではないと思うので、研修などの経験により、自身の成長や語りに対しての思いが醸成されたと思います。語り部の活動で気を付けていることはありますか。

◇語り部
私たちは、当時を経験していませんが体験者から話を聞くなど勉強を重ね、歴史の史実を風化させないように頑張りたいと思っています。ただ、人と話すのが苦手で、勉強をしていても人前に立つと緊張で話す内容が頭に浮かんでこない人もいます。

◇市長
私も学生の頃は人前で話すのは苦手でしたが、経験を積むことで身に付いてきました。自分で答えれらなかった悔しいという思いが、より一層勉強するきっかけにもなります。さらに力を付けていってください。

◇語り部
分からないことは先輩に助けてもらいながら、引き続き勉強を重ね、後輩に教えられるようにしていきます。また、来館者は年上の人が多く、自分たちより知識を持っている人も来館されるので、勉強させてもらうこともあります。

◇市長
来館者も中学生や高校生が頑張って語り部をしている姿を見れば、感銘を受けると思いますよ。来館者の知識ももらいながら、自身の成長につなげるというのも素晴らしいことです。

◇語り部
岸壁の母の説明をした時は「戦争って駄目だよね」「平和になったらいいね」と涙を流しながら聞いてもらったこともあります。外国の人や目が不自由な人が来られた時は、相手が熱心に聞こう・理解しようとしてくれている気持ちが伝わってきました。そういう人に対しては、相手にどうしたらうまく伝わるかを考えています。学生だから気兼ねなく、気軽に話しかけてもらえるような存在になりたいです。

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