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[対談]市長 × 次世代の語り部 ~引き揚げの史実を未来へ語り継ぐ~(2)

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京都府舞鶴市

■次世代の語り部(以下、語り部)
◇市長
伝えたいという思いが先行すると思いますが、その中で相手に寄り添った語り方を考えているのは素晴らしいですね。

◇語り部
市外の学校に通っている語り部は、活動している内容を市外の友人や先輩、後輩に話しています。そのつながりから「今度引揚記念館行くんやけどおる?」「興味あるから教えてくれん?」など、これまで関わることがなかった人も興味を持ち、引揚記念館に話を聞きに来てくれます。引揚記念館がある地元地区の語り部が多い中で、広がるはずのなかった人にも届いているのが嬉しいです。そういった人にもっと興味を持ってもらえるように活動を頑張りたいです。

◇市長
来館された人に対してもそうですが、いろんな人を巻き込んでいくことが大切であり、語り部の皆さん一人ひとりがすごく大きな存在だと思っています。それからもう一つ大事なことは、引き揚げの史実、平和の発信を全国の人に広めようとすることと併せて、舞鶴市民もこの事実をしっかりと知ってもらわなければいけないと思います。市としても発信しますが、皆さんにもそういう発信者であってほしいと思います。

◇語り部
発信は大事ですね。以前、語り部の活動報告を学校で発表してほしいと言われたことがありました。人前に出るのが苦手でしたが、いざやってみると「こんな活動しとったんや、すごいな」と言ってもらえて、それがきっかけで発信をすることがすごく大事だと感じました。

◇市長
本当にすごいこと。発信はそれぞれのやり方があると思いますが、身近な人を巻き込んでいくということはすごく大事だと思います。他にも気を付けていることはありますか。

◇語り部
体験者の話をお聞きする時に思いますが、今後は体験者が減っていく中で、体験者の生の声を語り継ぐことが大切だと思っています。日々の語りの時やキッズセミナーなどで、体験者から聞いた話を必ず伝えようと思っています。

◇市長
何事でもやはりその体験者の言葉ほどリアルなものはありません。だからそのリアルの部分は、どうしても戦後生まれの世代には分からないけれども、当時の人の心情に思いをはせることは大切ですね。その当時のつらい環境に自分自身を置いて想像することが私も大事だと思っているし、そうすることで聞いた人により伝わると思います。

◇語り部
二度と同じことを繰り返さないようにする必要性も伝えていきたいと思います。

◇市長
本当にそうですね。語り部である皆さんがしっかりと伝えていただき、絶対風化させちゃいけないと思っています。史実とは現に起こってきたことであって、しっかりと伝えていくということがこの国の平和の意識の向上につながると思います。このまちが今、平和であるのも先人のおかげです。そういった観点からもぜひ広げていってください。

◇語り部
はい。私たちはこの引き揚げや抑留の史実を市内外に広め、次世代に継承していくことを目標にして、これからも活動していきます。

◇市長
皆さん一人ひとりがすごく貴重な存在であり、語り部として活動していただいていることに心から感謝します。進路の関係で舞鶴を離れるという人生の選択もあると思いますが、どこに行くことになっても、語り部という存在であり続けてほしいと思っています。今日は、とても良い話を聞かせていただきありがとうございました。

◇語り部
こちらこそありがとうございました。これからもこの活動の応援をよろしくお願いします。

■語り部が思うそれぞれの思い
◆引き揚げの史実を知ってほしい
来館者に語り部として話をさせてもらうのは、興味を持って来館している人なので、関心のない人にどうしたら興味を持ってもらえるようにするかが難しいところです。
興味のない人にも、引き揚げの史実を知ってほしいとの思いから「シベリア抑留」に現代からタイムスリップした動画の作成に取り組んでいます。夏休みに台本を書き終えたので、現在学校でキャストを募り来年2月の完成を目標に進めています。
少しでも引き揚げの史実に興味を持ってもらえるように、語り部として頑張っていきます。

▽次世代の語り部(東舞鶴高2年)
藤田 康輔さん

◆自身の経験・知識を次の世代へ
学生の時は語り部として、さまざまな場面で話をさせていただいて、その経験は今の生活でもしっかりと役に立っています。
学生の語り部には、語る上で自身が勉強を重ねてきた得意分野があります。その得意分野をさらに生かし、またそうでない分野も勉強や経験を重ねることで、今まで受け継がれてきた語り部としての活動を次の世代に引き継いでほしいと思います。
10月7日は引き揚げの日です。「引き揚げ」と聞くと難しく思われがちですが、語り部もいますので、引揚記念館に気軽に来てもらいたいです。

▽次世代の語り部(社会人20代)
眞下 葵さん

■「引き揚げの日」にイベントを開催
◆平和祈念式典
戦後78年がたち、薄れゆく引き揚げの史実と、再び繰り返してはならない戦争の悲惨さを風化させることなく後世に語り継ぎ、引揚者を温かく迎えた舞鶴市民の思いやりとやさしさを誇るべきまちの歴史として次世代に伝え、平和の尊さを世界へ、そして未来へ発信するさらなる歩みを進めます。
日時:10月7日(土)14時から
場所:引揚記念公園
内容:黙とう、献茶、献花、平和へのメッセージ(大浦小・朝来小・若浦中の代表者)、舞鶴子どもコーラスによる合唱など
その他:
・先着100人に舞鶴茶道連盟の協力で呈茶と、舞鶴・引揚語りの会による当時の食体験(ふかしいもなど)の振る舞いあり
・1日入館無料

◆公開オンライン講演会
映画「ラーゲリより愛を込めて」の主人公である山本幡男氏の息子で立教大学名誉教授の山本顕一氏による公開講演会が同大学(東京都)で開催されます。講演会当日は、1945年に本市に引き揚げ第一船が入港した「舞鶴引き揚げの日」にあたることから、山本幡男氏も引き揚げてこられるはずであった本市とオンラインで結び、次の世代へのメッセージを深めていきます。
日時:10月7日15時~17時
場所:舞鶴引揚記念館(Zoom(ズーム)によるオンライン配信)

◆お話とミニライブ 夜間特別開館
シベリア抑留や舞鶴の引き揚げを舞台に制作された音楽劇「君よ生きて」の音楽監督であるユウサミイ氏を招き、音楽や芸術などを通じて引き揚げの史実を伝える意味について考えます。
日時:10月7日18時~19時30分(最終入館は19時)
場所:同館

◆共通
問い合わせ先:同館
【電話】68・0836

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