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赤れんが博物館が開館30 年

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京都府舞鶴市

■旧海軍舞鶴鎮守府兵器廠魚形水雷庫 建設120年
煉瓦(れんが)の歴史をひも解いてみると約8000年前、古代オリエントの国々では、すでに煉瓦を使って都市が建設されていました。
一方、日本で煉瓦が使われ始めたのは、明治時代以降です。それまでは長らく鎖国状態で独自の文化を育んでいましたが、明治期になると海外に目を向けるようになり、西洋文化を積極的に取り入れようとします。その中で多くの外国人技術者を招いたり、日本人技術者を留学させたりして、日本国内に煉瓦建築が普及していきます。
しかし、大正12年に発生した関東大震災により、多くの煉瓦建造物が被害を受けたことから、建築の耐震基準が見直され鉄骨やコンクリート造りが主流となります。そのため、国内の煉瓦建築は明治から大正時代のわずか50年の歴史しかなく、現存しているだけでも非常に貴重なものとされています。
そのような中、舞鶴には多くの煉瓦建造物が残っており、その歴史と価値を再認識し、活用するため、廃虚化していた旧海軍兵器廠魚形水雷庫が整備され、平成5年に赤れんが博物館としてオープンしました。
赤れんが博物館ではこの30年間、世界のさまざまな場所から煉瓦を収集し、現在、42か国約2,200点の煉瓦を所蔵しています。その中には、紀元前2500年頃の古代メソポタミアの煉瓦や、国内に残る最も古い煉瓦造建築である、長崎の「小菅修船場巻揚器械小屋」の煉瓦も展示されており、訪れた人が煉瓦の歴史や価値を感じることができる施設になっています。

◇日本で最古級の鉄骨煉瓦造り
赤れんが博物館は、鉄と煉瓦を組み合わせて造られた、鉄骨煉瓦構造の建物です。鉄骨はアメリカから輸入し、煉瓦を積み立てる方法として、フランス積みを採用。日本で初めて煉瓦建造物が造られた時期は、フランス積みが一般的でしたが、その後イギリス積みに切り替わりました。そのため、イギリス積みが主流の時代にフランス積みで造られたこの博物館は非常に珍しく、建築学的にも大変貴重であると専門家からも評価されています。

◇赤れんがのまち・舞鶴の発祥地
海軍鎮守府開設に伴い整備された多くのインフラは、現在の私たちの生活にも生かされています。与保呂地区にある桂貯水池は今も上水道施設として使用されており、道路や鉄道、トンネルや橋など、多くの場所に歴史を物語る煉瓦を見ることができます。
そんな煉瓦を生かしたまちづくりは、私たち舞鶴市民の共有の資産として、国の重要文化財指定や日本遺産、日本の20世紀遺産20選の認定につながるなど高く評価されており、大変誇ることのできるものです。30年間続けられてきたこの赤れんがのまちづくりは、赤れんが博物館の開館から始まったのです。

◇煉瓦の価値
古代から、人類は煉瓦を生活に取り入れ、それが積み重なって、塀や建物が造られ、都市を形成し、そこで人々が生活を営む中で、文化が創られてきました。人間の生活が煉瓦とともに歩んできたという史実は、未来へ継承しなければなりません。
特に日本での煉瓦造建築史がわずか50年という短期間で終焉(しゅうえん)し、さらに戦後の日本の高度経済成長に伴い、歴史的価値のある多くの煉瓦建造物が取り壊されてしまいました。その中で、赤れんが博物館はただ単に多くの煉瓦を所蔵・展示するだけでなく、煉瓦に関する歴史的な価値や、現存する煉瓦建造物の情報の収集、発信を行い、次世代へと継承するという役割を果たし続けています。
世界で舞鶴にしかない、唯一の煉瓦の博物館。この機会にぜひ訪れてみてください。

■赤れんが博物館開館30周年記念事業
◇オープニングテープカット
日時:11月3日(祝)10時から

◇企画展
日時:11月3日~来年2月25日(日) 9時~17時(休館日、年末年始除く)
内容:
・30年の歴代企画展に関するれんがなどの資料展示
・旧魚形水雷庫の様子や博物館開館前後の催しのパネル展
・かつて博物館で販売していた赤れんがグッズの展示など
入館料:400円(学生は150円(市内在住か在学の学生は無料))

◎共通
その他:11月3日のみ10時開館

◇日本遺産MONTH シンポジウム「煉瓦とジャズと山下洋輔」
日時:11月19日(日)13時30分~15時30分
場所:赤れんが2号棟
内容:
・「赤れんがヒストリー30年の仕掛け」…世界的ジャズピアニストの山下洋輔氏と赤れんがのまちづくりを初期から中心になって進めてきた馬場英男氏による対談
・「煉瓦とジャズと山下洋輔」…山下洋輔氏による演奏
対象:市内在住の人
定員:150人(多数の場合抽選)
申し込み方法:10月30日(月)(消印有効)までに往復はがきで申し込み。「往信用裏面」に郵便番号、住所、氏名、電話番号、「返信用表面」に郵便番号、住所、氏名を記入し、赤れんが博物館(〒625-0036、市内字浜2011番地)へ。

問い合わせ先:赤れんが博物館
【電話】66・1095

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