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基山町重要無形民俗文化財 荒穂神社 御神幸祭(みゆきまつり)(1)

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佐賀県基山町

9月23日(秋分の日)に、町の代表的な民俗芸能の一つで、長い伝統をもつ「御神幸祭(みゆきまつり)」が行われます。肥前四式内社の一つに挙げられる荒穂神社の秋の祭礼である御神幸祭では、さまざまな民俗芸能が奉納されます。

◇荒穂神社の歴史
荒穂神社は、基山(きざん)南麓の宮浦字宮脇に鎮座し、格式と由緒のある神社です。今から約1160年前に記された『日本三代実録』貞観(じょうがん)2年(860年)の項には、荒穂天神の神としての位を上げるといった記事を見ることができます。また、延長(えんちょう)5年(927年)撰進の『延喜式神名帳』には、肥前のなかに4つの社名が記されており、その一つとして荒穂神社の名が出てきます。古い文献に名があることから、荒穂神社は古代より尊崇されてきた格式高い神社であることが分かります。
主祭神は荒穂天神で、かつては基山(きざん)山頂にあったと伝えられています。現在も山頂にはタマタマ石と呼ばれる花崗岩(かこうがん)の巨石があり、これを磐座(いわくら)(神様が宿る聖なる岩石)とする自然神であったと考えられます。

◇5世紀にわたり続く大祭
荒穂神社の重要な祭である大祭の一つが御神幸祭にあたります。いつから行われていたのか定かではないものの、少なくとも約500年前の文献である『神幸(しんこう)文書(写)』に、祭に関する記事を見ることができます。昭和32年(1957年)に一度途絶したものの、昭和43年(1968年)に復活しました。

◇御神幸祭の流れ
大祭は、御神幸(ごしんこう)の6日前に、お酒の栓を開けることから始まります。その後、注連縄(しめなわ)張り、神(かみ)の座(ざ)、柴垣(しばがき)の座(ざ)などの祭事が行われ、御神幸祭の当日を迎えます。
御神幸祭当日の早朝、神殿では御神体(ごしんたい)が御神輿(おみこし)に移され、各芸能が奉納されます。その後、神社を出発し、御仮殿(おかりでん)(多世代交流センター憩の家北側の社殿)に向かいます(お下り)。御仮殿に到着後、正午から神事が行われ、各種芸能が奉納されます。奉納が終了した夕刻に、御神輿は神社に帰還し(お上り)、再び芸能が奉納されます。
このように、神様が御神輿に乗って神社からお出いでになることを「御神幸(ごしんこう)」といいます。そして、その際に目的地である御旅所(おたびしょ)が仮の社殿になることから「御仮殿(おかりでん)」といいます。

御神幸祭は、神様に豊作を願う祈りと感謝の気持ちを表すもので、古来より受け継がれてきました。また、令和3年6月1日には、町指定重要無形民俗文化財に指定しました。この機会に御神幸祭を通じて、郷土の伝統を感じてみませんか。

◆令和5年度の御神幸祭
日時:9月23日(祝)正午〜
場所:御仮殿(おかりでん)(多世代交流センター憩の家前)
※当日は臨時バスを運行します。
駐車場などの詳細は本紙6ページをご覧ください。

◆荒穂神社に奉納される民俗芸能
◇災払(さいばらい)
仁蓮寺(にれんじ)の少年10名、青年8名によって奉納されます。災払は、別名「棒遣い」ともいい、その役目は道案内と悪魔払いといわれています。全40数手にも及ぶ勇壮な棒術が披露されます。

◇鉦風流(かねふりゅう)
西長野(にしながの)の総勢50名によって奉納されます。御神幸祭を、別名「どんきゃんきゃん」と呼ぶのは、この鉦の音に由来していると考えられます。
昔、園部の金丸(かなまる)に住んでいた八並長者(やつなみちょうじゃ)が子どもを授かったお礼として、信仰していた荒穂神社に奉納したと伝えられています。

◇獅子舞(ししまい)
向平原(むかいひらばる)、辻(つじ)、引地(ひきぢ)、一井木(いちぎ)、水上(みずかみ)、田中(たんなか)の総勢50名によって奉納されます。2人ずつが入った赤の雄と黒の雌の獅子が獅子釣の所作に導かれ、対の動きをします。獅子は、時には激しく、時には静かに、音とともに華麗な舞を演じます。この獅子舞は、大陸から伝来してきたものと考えられています。

◇行列(ぎょうれつ)
御神幸祭のお下り、お上りの際には、災払を先頭に、鉦風流、獅子の鉦の道囃(みちばやし)による踊りに続き、「立傘(たちかさ)」、「台傘(だいかさ)」、「挟箱(はさみばこ)」、「羽熊(はぐま)」の大名行列が練り歩きます。これらは住吉(すみよし)、不動寺(ふどうじ)、才ノ上(さいのうえ)の人々によって奉納されます。その後ろに、秋光(あきみつ)、千塔(せんど)の鉄砲などに続き、木山口(きやまぐち)の青年による奏楽のなか、神輿の下をくぐろうとする人々にもまれながら進んでいきます。
立傘は、先が細い傘で、大名が小休止する際に日陰を作るために使用するものです。台傘は、先が円盤状で、大名が立ち止まったり、徒歩で進んだりするときに頭上にかかげられるものです。挟箱は、衣服や道具を入れた箱に棒を付けて、足軽(あしがる)が担いだものです。5歩進んで4歩下がるというゆったりとした歩が行われます。羽熊は、槍の先端を毛で飾ったもので、毛の色によって「白羽熊」と「黒羽熊」の2種類があり、長い槍の投げ渡しは豪快さを感じることができます。

◆御神幸祭会場周辺図
車で来場の場合は、臨時駐車場をご利用ください
P1基山町役場
P2福祉交流館
※詳細は本紙をご覧ください。

◆無料臨時バスをご利用ください
JR基山駅や各臨時駐車場と、会場の御仮殿との間で、無料の臨時バスを運行します。
▽運行区間
(1)JR基山駅(2)基山町役場(玄関前)(3)福祉交流館(玄関前)⇔御仮殿(憩の家)

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