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【特集】多久石器原産地遺跡群~古代の暮らしを支えたサヌカイトの一大産地

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佐賀県多久市

鬼の鼻山北麓(ほくろく)にある「多久石器原産地遺跡群」では、これまでに旧石器時代~弥生時代の石器が多数出土しています。
豊富に採れるサヌカイトで石器作り体験ができるのも多久ならでは。さらには令和7年に国史跡への指定をめざし、着々と準備中です。

■サヌカイトとは
噴火で表出したマグマが急激に固まりできた安山岩の一種。貝殻状に鋭く割れるため、刃物への加工に適した。叩くと高い音が鳴るので「カンカン石」とも呼ばれる。

■日本最大規模の石器原産地遺跡群
金属のない時代、石器は人々の生活に欠かせない道具として重宝されました。周囲を山に囲まれた多久市の南方にそびえる鬼の鼻山北麓一帯では、そうした古代人の暮らしが垣間見えるサヌカイト製の石槍を中心とした石器が多数出土しています。
昭和35年、日本考古学協会によって九州初の学術調査が行われた三年山遺跡と茶園原遺跡を皮切りに詳細な分布調査が行われ、なんと40か所以上の石器製作遺跡を確認。さらに昭和53年〜54年の茶園原遺跡の発掘調査では、遺物が多く含まれた60cmほどの層が見つかりました。
また、三年山遺跡・茶園原遺跡での出土品と酷似した石器が周辺の遺跡からも発掘され、石器原産地遺跡群としての特徴を持っていると判明。こうして日本最大規模の多久の遺跡群は「多久石器原産地遺跡群」と名付けられました。

■考古学史に残る多久の遺跡
日本考古学協会が旧石器時代の遺跡として九州で最初に学術調査を行った2遺跡をご紹介!三年山遺跡は調査後に保存対応をして、現在公園として整備されています。茶園原遺跡は発掘調査も継続中です。

■ぞくぞく発掘!サヌカイト製の石器
大規模な石槍製作場があった多久では、豊富な石材を生かしてたくさんの石器が作られました。
※「槍」「ナイフ」などの名称は、用途ではなく形状で分類されたもの。名称=用途ではありません。

※詳しくは、本紙またはPDF版を参照してください。

▽こぼれ話
縄文時代に入ると人々は定住生活を始め、石器製作の技法が向上。しかし、石器原産地から遠くに住む人々は移動しながら石材を得られなくなったので、石材が豊富な多久は、鹿児島など遠方に「未製品」と呼ばれる完成間近の石器を搬出していました。そのため、多久では完成品のほか未製品も多数出土します。

■気分は古代にタイムトラベル♪
今でもサヌカイトが豊富に採集できる多久市。これまで市では、公益財団法人孔子の里が開く「たく市民大学ゆい工房」で、石のかけらを使ってペーパーナイフなどを作る体験教室を行ってきました。
「夏休み子ども企画」と題して実施していることもあり、多くの子どもたちで大にぎわい!自由研究にもぴったりだと好評です。

■令和7年に国史跡への指定をめざしています
日本にはサヌカイト原産地遺跡として国が史跡指定しているところはありません。多久市は初の指定をめざして、現在報告書をまとめています。
多久石器原産地遺跡群は、石器文化の研究を進展させるためにも重要です。国指定史跡とし、郷土の誇りを未来まで残しましょう。

参考文献:岡村道雄著「歴史発掘1 石器の盛衰」1998年、株式会社講談社
福岡博監修「図説 佐賀・小城・多久の歴史」2009年、株式会社郷土出版社

問合せ:多久市教育委員会 教育振興課 文化スポーツ係
【電話】0952-75-8022

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