■西国三十三所観音(さいごくさんじゅうさんしょかんのん)
南多久町妙覚寺
西国は東国に対応する言葉で、西国三十三所は近畿及び隣接県にある巡礼地です。この観音霊場を勧請(かんじょう)した写しが各地に設置されました。当所では境内にあります。
写真中央の高い位置に如意輪(にょいりん)観音1体、前段左右に各6体、中段左右に各5体、後段左右に各5体、合計33体が確認できます。石仏はすべて敷茄子(しきなす)上の蓮華座(れんげざ)に安置されています。石仏の半数は崩落し、尊顔(そんがん)の原形を保つのはわずか6体程度です。像容(ぞうよう)を推定できる石仏は、千手(せんじゅ)観音12体(うち一体は三面千手)、如意輪観音5体、聖(しょう)(正)観音2体の計19体です。しかし、各石仏には比類のない造形が見られます。
中央最下段の台正面に「三十三身大士讃頌(だいじさんしょう)…正徳三年癸巳(みずのとみ)春王(はるおう)三月吉辰(きっしん)」、台の右側面に「施主喜多嶋圓右衛門良慶」、左側面に「石佛師平川德兵衛安明同亍相右衛門良國拜作」と刻まれています。
※正徳三年は西暦1713年です
※写真は本誌を参照ください。
多久市郷土資料館長
藤井伸幸(ふじいのぶゆき)
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