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[特集]ひきこもり支援のために手を取り合おう 共に歩む未来へ ―(1)

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兵庫県佐用町

「ひきこもり」という言葉が、社会問題として取り上げられるようになってから数十年が経ちました。しかし、未だにこの問題に対する理解や対応策は不十分で、ひきこもり生活を送る人々やその家族にとっては苦しい日々が続いています。今、ひきこもり支援の重要性はますます高まっており、社会的な取り組みが求められています。この特集では、ひきこもり支援の必要性や現状、そしてどのような支援が必要かを考えていきます。

◆ひきこもりとは
社会の中で、何かにつまずいて悩んで、心を閉ざし、家にひきこもってしまう人がいます。「ひきこもり」とは、仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態をいいます。つまり、「ひきこもり」は病名ではなく現象を指す言葉で、全く家から出られない、買物は行けるなど、実態はさまざまです。また、年齢層は幅広く存在しています。
長期間にわたって自宅から出ることが少なくなることで、社会や人間関係から孤立してしまいます。

◆ひきこもりの原因
ひきこもりの主な原因としては、学校や職場でのストレス、対人恐怖症、家庭内でのトラブル、自己肯定感の低下などが挙げられます。また、社会や現実に対する不安感や落ち込み、精神疾患なども原因のひとつとされています。

◆町内のひきこもり者は全国平均よりも高い傾向
町は、令和3・4年度に16歳から50歳までの町民4685人を対象に「生活と健康に関する調査」を山陽学園大学(岡山市)と共同で実施し、対象世代が抱えている健康問題や、ひきこもりの現状などを調査しました。
調査の結果、約3割の人から回答があり、町内でのひきこもり者は2.6%いると想定されます。これは全国平均の1.5%と比べると、高い割合となっていることがわかりました。
また、心理的に不安があったり、飲酒や睡眠などの問題を抱えたりしている人も3割近くいることがわかりました。

◆寄り添う存在が必要
ひきこもりから立ち直るためには、個々に応じた適切な支援が求められますが、他の福祉サービスと違い、直接的な支援が難しく、長期化してしまう傾向にあります。
また、家族もどう受け止め、どう接するのがよいか思い悩み、抱え込んでしまいがちです。
これらのことから、早い段階から、本人や家族に寄り添う存在、信頼でき話しやすい存在が必要となってきます。このような存在を増やすには、役場や専門的な相談機関だけではなく、もっと身近な存在である親族や友人、地域住民などが協力しながら支援の輪を広げることが大切です。

◆ひきこもりへの理解を深める
町は、ひきこもりの支援に向けて、民生委員やひきこもりの家族がいる人などを対象に講演会を開催しました。講師には、健康調査の診断を行った山陽学園大学教授(当時)の目良宣子(めらのぶこ)さんと、自身の子どもがひきこもりから社会復帰を果たした斎藤さん(仮名)を招き、調査から見えた町の実情や、ひきこもりの実体験を聞くことでひきこもりへの理解を深めました。

◆まずは悩みを話すことから始めてみませんか
・目良宣子教授(山陽学園大学)
ひきこもりの問題を家族で解決しようとすると、会話するにも関係が近すぎてうまくいかないことがあります。高齢者の介護も同じですが、第三者が相談に入ることで、少しずつ家族と本人との距離が保てるようになります。他の風を入れることが大事だと思います。
相談に来る家族は、本人が何か一つでも変わってくれることがないかを求めています。話を聞くときは、具体的に何が支援できるか探りながら耳を傾けています。しかし、家族からの話だけでは、本人がひきこもった背景を見立てるのは難しいものです。病気が関わっているのか、障がいがあるのか、他に理由があるのか、それを理解するためには、当事者本人に会って話を聞くことが大切です。
佐用町では、令和5年度から相談会が開かれています。悩んでいることを聞かせてください。

・睡眠に問題を抱えている…28%
・飲酒に問題を抱えている…23%
・うつになる可能性がある…31%
・過去に不登校の経験がある…9%
・過去にいじめを受けたことがある…24%

令和3年佐用町生活と健康に関する調査から

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