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特集1:新春座談会 幸せを実感できるまちづくり(1)

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兵庫県加古川市

令和5年度の加古川市は「加古川ならではの魅力づくり」と「社会課題の解題の解決にチャレンジ」に取り組み、一人一人が実感できる幸福感の向上を目指してきました。国で「デジタル田園都市国家構想実現に向けた地域幸福度指標の活用促進に関する検討会」の委員をされている南雲さんに市の取り組みについての意見や感想などを伺い、幅広いテーマで話し合いました。
岡田康裕 市長
小林直樹 市議会議長
南雲岳彦(なぐもたけひこ)さん 一般社団法人スマートシティ・インスティテュート専務理事
加古川市のウェルビーイングに関する政策アドバイザーを務める。地球環境と市民が共存し、誰もが幸福になれるグリーンandデジタルなまちづくりに従事。

■にぎわいの復活と幸せへの探求
市長:昨年は新型コロナウイルスが5類に移行されました。地域の祭りやイベントが復活して、にぎわいが戻ってきましたね。
議長:学校や地域の行事も再開し、議長として出席する機会も増えました。昨年は県市議会議長会の研修で、日本と世界の幸福度の比較や市民意識調査から見える市の特徴などについて、南雲さんの講演を聞かせていただきました。
南雲:昨年は「ウェルビーイング」について講演する機会が増えました。コロナ禍での不安やインフレ、猛暑、そして世界情勢…不安感が急激に増している世の中で、皆さんの「何をよりどころにしたら良いの?」との思いが強くなった年だったと思います。
市長:物価高騰が続き、経済的な不安から給付や負担軽減などの対策に関心が集まった年でもありました。市でも5回目のキャッシュレスキャンペーンなどを行いました。
家庭内の事情や経済情勢など、行政の手が届かないこともありますが、治安の改善や医療の提供体制を良くすることなど、市が皆さんの「幸せ」に寄与できる領域がたくさんあるのではと考えています。

○CHECK! ウェルビーイング Well-Being
人々が身体的・精神的・社会的に満たされた状態が続くこと。幸福感。自分らしさや地域での人間関係、景観や都市機能などさまざまな要因の組み合わせで成り立つ。

■「幸福度を測る」こと
市長:市では、長年実施している「市民意識調査」で、市の取り組みについて、満足度と重要度を調査しています。以前からこの満足度と重要度が、皆さんの幸福度とどのようにつながっているかを知りたいと思っていました。
南雲:ウェルビーイングとは「人々の幸福感」のこと。私は「何が人の幸せにつながるのか」という要因を見つけ出すために、ウェルビーイングを数値化する指標を作ろうと考えました。
指標は自治体ごとに必要だと考えていた際、加古川市は最初に市民意識調査にウェルビーイングの内容を取り入れた質問を作ってくださいました。他自治体が後に続き、ウェルビーイングを考える輪が大きく広がっています。
議長:幸せは人によって違うので、市全体で見ることができれば新たな発見がありそうですね。
ウェルビーイングの要因が何なのかは、国や地域によって違うのでしょうか。
南雲:はい。まちの特徴によって幸せの要因は違います。自分たちのまちのウェルビーイング指標があれば、どうすればまち全体の幸せを高められるのかが分かりやすくなります。ウェルビーイング指標は人々にとっての「心の羅針盤」のようなものだと思います。
市長:今はデジタル化が進み、アンケート調査をオンラインで実施して大量のデータを分析することができます。
議長:ウェルビーイング指標を取り入れて毎年調べていけば、幸せに寄与する要因が見えてきそうですね。結果を見ながら年代や地域などに合わせたさまざまな政策ができそうです。
市長:南雲さんがおっしゃる「心の羅針盤」がないと、目先の問題解決や利益を優先してしまうかもしれません。中長期的に取り組むべきまちづくりが、後回しになりかねないという危機感を持っています。
南雲:指標があれば取り組みが本来の意図と違う方向に進んでしまうことを避けられます。迷ったときはいつでも確認することができるのです。

○CHECK! 市民意識調査
市の取り組みや今後のまちづくりの方向性についてのアンケート調査。無作為で選んだ市民の皆さんを対象に行い、令和4年度からウェルビーイングについての質問を取り入れている。
くわしくはこちら(※本紙参照)

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