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住民主導の“黒土川小水力発電所”稼働開始!

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兵庫県宍粟市

千種町の黒土地区でこのほど、同地区内に流れる黒土川の水流を利用した「黒土川小水力発電所」が完成し、稼働を開始しました。この発電所は地元自治会が7年前から、地域資源を活用し経済を循環させていく仕組みとして構想を練ってきたもので、整備は有志メンバーらでつくる合同会社が行いました。
今回は県内でも例が少なく、市内初となる“地域主導型”の小水力発電所について紹介します。

■小水力発電って?
小水力発電とは、石油や石炭など枯渇性資源を使用しない「再生可能エネルギー」です。高い所から低い所へ流れる水の力を利用して水車を回すことにより発電する仕組みで、兵庫県では1000キロワット以下の水力発電を“小水力発電”と呼んでいます。

○小水力発電の優れたポイント
・年間を通して、一定の水量があれば安定した発電ができる
・設備利用率※1が高く、太陽光の5~8倍の電力量を発電できる
・燃料を調達する必要がない
・ライフサイクルCO2※2が最も小さい発電方法なので環境にやさしい
・メンテナンスをすることで50年以上の稼働が見込める
※1 発電設備の実際の発電量が、仮に100パーセント稼働した際の発電量の何パーセントにあたるかを表す数値
※2 建物を建設してから解体するまでに排出される二酸化炭素量

■地域で運営する黒土川小水力発電所
黒土川小水力発電所は、黒土自治会の有志メンバーらでつくる「黒土川小水力発電合同会社」が運営しています。同社の代表社員で、発電所整備の発起人でもある春名玄貴(はるき)さんにこれまでの経緯と今後の展望などを聞きました。

◆interview
黒土川小水力発電合同会社
春名玄貴(はるなはるき)さん
元々は大正期に黒土地区で稼働していた水力発電所を復元して、まちおこしに活用する計画でした。その中で、少子高齢化が進む地域を元気にするため、自分たちでお金を生み地域に還元する仕組みを考えるようになりました。兵庫県の補助金を活用し、専門家の講師を呼ぶなどして、みんなで毎日のように公民館に集まり、勉強会を開きました。地域住民や地権者の方々に対しては、説明会や直接的な交渉を重ねることで理解を得ることができました。
会社は男性8人、女性2人の計10人で運営しており、経営者やエンジニア、金融機関のOBなどもいます。発電装置にはオーストリア製でヨーロッパでも高い評価を得ている「ペルトン水車」を導入しています。発電による収益を災害防止のための森林保全などに活用するほか、災害発生時に自治会の避難所へ電力が供給できるような仕組みづくりを考えています。発電所自体を子どもたちの教育の場としても使ってもらいたいです。
地域の活性化を目的にみんなで肩を並べて取り組み、ここまで来ることができました。行政のサポートはもちろん、クラウドファンディングで寄付をしていただいた方々にも感謝しています。水力発電所が黒土で実現できたということは、ほかの地域でもできるということだと思います。みんなに夢を持ってもらいたいです。

○発電所完成までの歩み
2016年5月~ 地元で検討開始(勉強会、先進地視察、専門家による現地調査)
2017年8月~ 現地流量調査
2018年8月 市による事業性評価調査、水車発電機の仕様および事業概略の策定
2019年9月 黒土川小水力発電合同会社を設立
2021年6月 プロジェクト詳細設計
2022年9月 工事着手
2023年3月 完成・発電開始

◆地域が取り組む再エネ事業に補助金
地域で小水力発電など再生可能エネルギー事業の立ち上げを検討する場合には、兵庫県がその勉強会や視察にかかる費用を補助します。また、計画の策定や関係機関との連絡調整をする際には市役所のサポートも受けられます。くわしくは森林環境課(【電話】63-3065)まで。

◆担当職員よりひとこと
○ご検討ください!「小水力発電」
宍粟市では小水力発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入を積極的に推進しています。その中でも環境に優しくてクリーンな小水力発電は、傾斜が急な山地が多い宍粟市に適した発電方法です。発電された電力は売電収益のほか災害時の自家用電力にも活用できます。県や市では左記のようなメニューもご用意しています。皆さんの地域でも、ぜひご検討ください。
森林環境課主査
野場敢滋(のばつよし)

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