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【特集】保護司の世界(1)

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兵庫県宝塚市

一人じゃない
一緒に悩み、考える

7月は「社会を明るくする運動」の強調月間です。これは犯罪や非行の防止と、罪を犯した人たちの更生について理解を深め、安全で安心な明るい地域社会を築く運動です。今回は、更生を支える「保護司」の活動に迫り、地域社会における更生保護の必要性とその大切さについてお伝えします。

■時間をかけて対象者の心をほぐす
保護司は、保護司法に基づき、法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員です。ボランティアである保護司の仕事は、保護観察、生活環境調整、犯罪予防活動の3つがあります。
更生保護活動の中心となる保護観察は、犯罪や非行をした人(以下、「対象者」)を更生へとつなげるための順守事項(約束事)を守るよう指導するとともに、月に2回程度の面接を行い、生活上の助言や就労の援助などを通して、立ち直りを助けるものです。
しかし、全ての対象者が最初から積極的に面接に応じてくれるとは限りません。まずは、好きな音楽や趣味の話などを聞くところから始め、信頼関係を築いていきます。本人の悩みを一緒に考えてあげられるよう、時間をかけて心をほぐしていくことが大切です。
コミュニケーションの取り方は、対象者一人一人に合わせて変える必要があります。約束をすぐ破ってしまう人には、約束を破ってしまったら必ず後で連絡を取り、埋め合わせをしなければならない、という社会のルールから教えます。電話や訪問に応対してくれない人には、あなたは一人じゃない、あなたを気に掛ける人がここにいると分かってもらえるまで、根気よく連絡します。
このように、一度社会の輪から外れてしまった対象者が孤立しないよう見守り、同じ目線に立ち、一緒に悩み、解決を目指す存在が保護司です。宝塚市でも、子育て中の人や仕事をしている人、定年退職した人などさまざまな人が保護司として活動しています。

■更生までの道のり
事件の発生

裁判所・家庭裁判所

保護観察
・1件あたり1~3年
・保護司1人あたり2、3件を担当

更生
※一例です

■お仕事メモ
▽生活環境調整
少年院や刑務所に収容されている人が、釈放後にスムーズに社会復帰を果たせるよう、帰る家の調査や引受人との話し合い、生計の見込みの調査などを行い、必要な受け入れ態勢を整えるものです。

▽犯罪予防活動
犯罪や非行をした人の改善更生について地域社会の理解を求めるとともに、犯罪や非行を未然に防ぐため、街頭での啓発広報活動や市立中学校でのパネル展示「保護司の小部屋」などの犯罪予防活動を行っています。

■幅広い世代の保護司の力が必要
活動の重要性に反してあまり知られていない保護司は、高齢化や担い手不足が全国的な問題となっています。新たに保護司になる人が減る中、毎年多くの保護司が75歳の定年を迎え退任しています。
また近年、刑法犯のうち傷害や恐喝などが減る一方で、SNSなどインターネットを使った特殊詐欺などの犯罪が増加しています。対象者との信頼関係を築くためには、犯罪の内容や背景を知っておく必要があります。さらに、対象者と年齢がかけ離れていると、会話の共通点を見つけるのも一苦労で、十分なコミュニケーションを取ることが難しくなる場合もあります。
このように、対象者が地域社会で孤立せず更生を目指すためには、若い世代を含む幅広い世代の保護司の力が必要です。

・更生ペンギンのホゴちゃん
更生保護のマスコットキャラクター(R)
(本紙画像参照)
「幸福(しあわせ)の黄色い羽根」は、犯罪や非行のない、幸福で明るい社会を願うシンボルです。

▽特殊詐欺の検挙件数

▽刑法犯の認知件数

出典:法務省「令和4年版犯罪白書」より一部抜粋

今回取材に協力してくれた尾中智子さんは、「私や家族が今日重大な事故を起こしたら、加害者やその家族になる可能性がある。そんな時、自分ならどう接してもらいたいかを想像しながら対象者と接している」と言います。
罪を犯したらそこで終わりではありません。過ちを認め、更生の道を歩む人たちがいます。私たちも彼らの思いを尊重し、地域の一員として受け入れ、寄り添うことが、社会を明るくする一歩かもしれません。

尾中 智子さん
NPO法人の職員として、あらゆる年代の人を対象に地域支援活動を行っている。
令和4年5月に保護司となり、今年で2年目。

問合せ:地域福祉課
【電話】77・0653【FAX】71・1355

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