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野草散歩(149)

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兵庫県新温泉町

■ノイバラ(バラ科)
新緑の美しい季節になると、戸外へ出かける機会も多くなります。山々の緑は淡く濃く、または銀色や褐色に芽吹くものもあり、その中に遠く近く、白い木の花が咲き始めます。道端には黄色や薄紅色、濃紫の草花がとりどりに群生する中、咲き誇るノイバラの白い花が、周囲の景色を一層浮き立たせています。平凡に見える花ながら、花屋さんや園芸愛好家の間では、蔓バラの原種であることや、バラの接ぎ木の台木に利用されていることなど、古くから重要な役割を担ってきた植物として認識されています。
ノイバラ(野茨)はバラ科の落葉つる低木で、高さは約2mほど。よく分枝して互いに絡まりながら伸びていくので、大きな藪を作ったりしています。成熟した樹皮は黒紫色を帯び、新枝は緑色、葉は互生して奇数羽状複葉、全体の長さは10cmほどです。小葉は卵形~長楕円形で3~4対、頂葉は側小葉より少し大きく、托葉(たくよう)(葉の下などについている小片)の葉縁はくしの歯状に深く切れ込み、先端は腺(せん)(蜜を分泌する袋)になって葉柄に合着しています。また、葉の基部には鉤型(かぎがた)に曲がった刺が対になって付いています。花は枝の先端に白色5弁花を多数つけ、1つの花の直径は2cm、雌しべはゆるやかに合着した無毛の花柱で、たくさんの雄しべに囲まれています。花後、萼筒(がくとう)が果実のように肥大して秋に赤熟します。クリスマスの頃に赤く染まった果実は、リースやスワッグなどに利用されて長い冬を楽しむこともできます。ちなみに赤い実はローズヒップの仲間ではありますが、諸書の文献によると、食べたりしないほうが賢明だそうです。
文・写真 中澤博子さん

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