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野草散歩(153)

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兵庫県新温泉町

■ツユクサ(ツユクサ科)
幼い頃の思い出にツユクサがあります。朝に咲いて昼にはしぼむので朝露のような、という意味でそう呼ばれているようですが、私の記憶にある名前はトンボグサ(蜻蛉草)。花の形がトンボの顔のようで、草姿も羽根を広げたようで。ところがトンボグサなんて呼び方は知らないという方が多く、記憶違いだったかなと思って調べてみると、ツユクサの方言は国内で185もあるとのこと。トンボグサもその一つで、他にツキクサ(青い汁がつきやすい)、ボウシバナ(花を覆う苞(ほう)が帽子のよう)、ホタルグサ、コウヤノタロベエなどという名もあるとか。
ツユクサはツユクサ科の一年草で、茎は根元付近では這い、よく分枝して先は立ち上がり、高さ20~50cmほど。葉は細長い卵状で先は尖って無毛、葉腋から花軸を出して先に直径2~3cmの帽子のような苞葉をつけ、中に数個の花があり、一日に一個ずつ外に出て開花した後は半日でしぼみます。花弁は3枚あり、上部の2枚は卵円形で青色、下の1枚は小さくて細長い白色。雄しべは6個でうち2個は花弁より突出し、少し短い1個は花粉の量が少ないもので、短い3個は仮雄しべであるとのこと。雄しべが幾通りもあるとは、それぞれの過程でどんな変遷を辿ってきたのでしょう。
前述の別名コウヤノタロベですが、紺屋の太郎兵衛と書くのでしょうか。ツユクサの変種であるアオバナは、かつて着物染の下絵を描くのに利用されたアオバナ紙の原料で、琵琶湖周辺で盛んに栽培されていたそうですが、現在は化学薬品の出現で利用されなくなり、ほとんど栽培されなくなったとのことです。

文・写真 中澤博子さん

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