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〔コラム〕忠臣蔵の散歩道(49)

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兵庫県赤穂市

■赤穂市「忠臣蔵」浮世絵データベース追加収録作品から
平成30年7月にオープンした赤穂市「忠臣蔵」浮世絵データベースは、平成27年度末段階で赤穂市が所有・所管するすべての忠臣蔵浮世絵約2千点の、画像を含む詳細なデータがインターネットを通じて24時間閲覧可能なツールです。令和5年4月1日からは、平成28年度から令和3年度にかけて新たに収集された602点が追加収録されて公開が始まっています。
今回は、新たに追加収録された作品の中から、主なものをいくつかご紹介しましょう。

◇勝川春英「忠臣蔵九段目」(AkoRH-R0581-02)
勝川(かつかわ)春英(しゅんえい)は数種にわたって『仮名手本忠臣蔵』各段を描くシリーズ物を手がけていますが、これは寛政(1789~1801)中期~後期ごろに版元西村屋与八から出版された間判(あいばん)11枚揃と目されるシリーズの1枚。図は、九段目の冒頭「雪こかし」で、山科の大星閑居(かんきょ)の庭先で、力弥が雪だるまを作るのをお石と下女が見守っている様子が描かれています。

◇昇亭北寿「仮名手本忠臣蔵七段目」(AkoRH-S0090)
中判のシリーズ物の1枚と思われます。『仮名手本忠臣蔵』中もっとも著名な場面である七段目の密書盗み読みの場面を描いています。すなわち、由良之助が縁先で密書を隠れ読むのを、階上からおかるが延べ鏡に映して盗み読み、床下では読み垂らした書状を九太夫が盗み読むところです。絵師の昇亭(しょうてい)北寿(ほくじゅ)は葛飾(かつしか)北斎(ほくさい)の門人で、刊行は享和(1801~04)~文化(1804~18)ごろ。

◇五粽亭広貞「大星由良之助」(AkoRH-S0109)
上方(かみがた)の絵師五粽亭(ごそうてい)広貞(ひろさだ)による中判の役者絵。嘉永4年(1851)5月、大坂・中の芝居(中村駒之助座)での『(義士伝読切銘々伝聞書)仮名手本忠臣蔵』の上演に取材しています。この芝居は、『仮名手本忠臣蔵』に別のストーリーを挿入した書替え狂言でした。図は、このとき由良之助を演じた四代目中村歌右衛門を大首絵(おおくびえ)で描いています。

◇歌川国芳「義士真像不破勝右衛門正種」(AkoRH-S0009)
「義士真像」は、討入り装束に身を固めた義士の全身像を虚飾を排して描こうというシリーズで、嘉永6年(1853)~7年に刊行され、現在まで22図が確認されています。義士の名前は実名とは若干変えていますが、顔の描写や、討入り装束の両袖口をギザギザの雁木(がんぎ)模様ではなく白布を縫い付けた状態に描いているのには真実味があります。図は、不破数右衛門がモデルで、画面左方の短冊形には「永世に名をハとゝめて不破の関あとなき物のあとハありけり」の歌が書かれています。

これらの他にも多くの作品が追加されていますので、あらためて赤穂市「忠臣蔵」浮世絵データベースにアクセスいただき、忠臣蔵浮世絵の多様な世界をご堪能ください。
なお、作品名の後ろの()書きはデータベース内の作品番号で、AkoRHは赤穂市立歴史博物館の所蔵品であることを示しています。
(赤穂市史編さん室 小野真一)

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