「相続放棄」
法テラス八雲法律事務所
弁護士 森田 寛(函館弁護士会所属)
■今回は、相続手続の中の「相続放棄」ついてお話しします。相続が発生すると、亡くなられた方の財産を相続人が引き継ぐことになります。財産として思いつくのは、預貯金、土地建物などの不動産、自動車などのプラスの価値があるものです。しかし、「マイナスの財産」、つまり借金についても「財産」であるため相続することになります。
■遺産を調べた結果、プラスの財産が多ければ、そこから借金を支払うことができますので、相続人の負担はありません。では、プラスの財産はほとんどなく、借金がたくさんある場合、相続人は、自分の財産で借金を返すしか方法はないのでしょうか。
■このような場合、選択肢のひとつとして「相続放棄」という手続きが用意されています。「相続放棄」を行うと、その人は初めから相続人にはならなかったとみなされます。このため、家庭裁判所で「相続放棄の申述」を行うことで、亡くなった方の借金を相続人が背負うのを防ぐことができるようになります。ただし、相続放棄をする場合には、次の点に注意が必要です。
■一つ目は、相続放棄をすると、預貯金などのプラスの財産を受け継ぐ権利も放棄したことになる点です。亡くなった方の財産が、プラスのものとマイナスのものとのいずれもあった場合には、相続放棄をするかどうかは慎重に判断する必要があります。
■二つ目は、相続放棄ができるのは,原則として、相続人が「相続開始があったこと」を知った時から「3か月以内」とされている点です。身近な人が亡くなると慌ただしくなるため、なかなか相続のことを考えている余裕がありません。気が付くと、この「3か月」の期間が過ぎてしまっていた、というケースも非常に多いので注意する必要があります。
■最後に、相続放棄を一度行うと、原則として撤回はできません。借金の調査に時間がかかるような場合は、「3か月」の期間の延長を家庭裁判所に申し出る制度も用意されています。
■さて、当事務所では、皆様からの各種法律相談を承っております。一定の資力要件を満たす方は、3回まで無料の法律相談をすることもできます。少しでも気になることがございましたら、お気軽にぜひ「法テラス八雲法律事務所」まで相談予約のお電話をお寄せください。
問合せ:法テラス八雲法律事務所
(【電話】050-3383-8366)
<この記事についてアンケートにご協力ください。>