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自治体の皆さまへ

【特集】あなたが、あなたであるために(1)

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北海道上富良野町

不登校で悩む児童生徒が増えています。
文部科学省が定義する『不登校』とは「病気や経済的な理由などといった特別な事情がなく、年間の欠席日数が30日以上となった状態」のことを指します。
令和3年度に発表された北海道教育委員会の最新のデータでは、道内の不登校の小学生は3千221人、中学生は7千243人、合わせて1万464人に上り、平成3年度の調査開始以降過去最多です。これは不登校と定義される子どものみの数で、学校に行けてはいるが欠席が一定期間ある子どもなど、不登校傾向の子どもの数はさらに多いと言われています。
町の不登校に悩む子どもたちは、この10年間で4倍に増え、町では臨床心理士など専門的資格を持つ職員を配置し、子どもたちや保護者のサポートを行ってきました。6月には、不登校の子どもたちが安心できる居場所づくりとさまざまな相談に対応し、学習活動を支援する拠点施設として教育支援センターを開設しました。
今回は、町教育支援センターの取り組みのほか、実際に不登校を経験された方、支える方々の思いにふれて不登校についての理解を深め、子どもたちが自分らしく生きるためにできることを一緒に考えてみませんか。

〔Voice 子どもの声〕
●学校へ行けない自分を、責めすぎないで。次の一歩が踏み出せる時は来るから。
不登校経験がある 広瀬永真(ひろせとおま)さん(大学生)
広瀬永真さんは、中学2年生のころから学校に行けなくなりました。
これといった理由はありませんでしたが、中学入学のころから何となく体の不調を抱えていたそうです。頭痛がする、腹痛がある…と休みが続き始めたころ、母に「自分の体が変だ」と訴え、病院を受診。「起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)」と診断されました。
起立性調節障害は体の機能を調節する自律神経機能障害の一種。中高生の思春期で発病することが多く、午前中は最も体調が悪く、午後から夕方ころにかけて徐々に回復しますが、夜でも体は起きたまま。休息できず明け方に眠ることもある厄介な病気です。
「朝は体調が悪く、午後になればようやく起きてこれる感じ。休んでいる分、体と気持ちはだいぶ楽になりましたが、親への罪悪感は不登校中ずっとあった。学校へ行こうと思っても行けない自分が嫌でした」
永真さんが罪悪感と葛藤するなか、母・美奈(みな)さんが「体調がすぐれないんだから学校は休みなよ」と不登校直後から言ってくれたことがとても気が楽になったと話します。
体も心も徐々に回復してからは、自宅で母の仕事の一つである、幼児の託児を手伝ったり、学校の行事に出席したり、中3では別室登校するなど、少しずつ活動していきました。
「中学の修学旅行、学校祭などは、友達からも『来てよ』って誘われたので参加しました。元々子どもが好きだったので、楽しく母の仕事の手伝いをすることができ、それが将来の夢にもつながりました」
高校入学後は、不登校の反動もあり休みがちではあったものの、少しずつ休まなくなり、高3では1度も休むことなく通えたそうです。
「中学生の時から、高校は行けるよう頑張ろう、とずっと決めてました。高校になると、いろいろ変化も多くて行けることができたのかなって思います」
今は、親元を離れ、大学生として幼児教育を学ぶ永真さん。過去の自分を振り返って、現在不登校に悩む子どもたちには「自分を責めすぎないことが大切」と語りかけます。
「自分を責めるとマイナスの感情を生むだけで、なおさら学校へ行けなくなってしまう。僕は、高校進学というタイミングでしたが、自分のなかで『これだ!』っていうきっかけが出てくるので、そういう時を見逃さないでほしい。あと、休んでいる間も、一人で閉じこもらないでいてほしい。自分のときは不登校の子の親の会『МIT』に参加し、同じ境遇の子と仲良くなれて、心強かった。今は教育支援センターも出来たと聞いたので、一人で家にいないで、家族や友達など、誰かとつながっていてほしいですね」

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