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映画監督滝田洋二郎氏 特別講演~映画・観るひと 創るひと

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北海道上富良野町

7月8日(土)、「泥流地帯」映画化を進める会主催による滝田洋二郎監督特別講演が公民館で行われ、75人が参加しました。
特別講演の前には、米国アカデミー賞外国語作品賞を受賞した滝田監督の代表作である映画「おくりびと」を鑑賞。会場が感動と涙に包まれました。
特別講演では地域活性化起業人の田中康之さんが進行を務め、パネラーとして「泥流地帯」映画化を進める会の青野範子会長が参加。「おくりびと」制作時のエピソードなどを振り返りながら、観る側には見えない部分である映画の創り方を講演いただきました。

●映画が完成するまで
滝田監督:私の映画として残る作品はこれまでに22本。実際には30年以上の間に3~4倍の企画作品がある。映画が成立するというものはすごく難しいことで、それ自体が奇跡のような部分がある。
田中さん:テレビ局に持ち込まれる企画がいくつもあり、製作委員会を組成して上映される映画の裏ではたくさんの映画の企画がある。
映画においてアワード(賞)をとるということは非常に重要なことで、興行成績にも響いてくる。上富良野町も映画を創りたいということで、商業映画かつアワードに派生するようなものは非常にハードルが高くやりがいがあると思う。

●監督として大切にしていること
滝田監督:ビジネスというよりは、映画監督は人と違うものを創らないといけない。今までに観たことがないものを創って人に感動していただく仕事。観ている人がこれは自分のための映画だなと思っていただけるような、その人の人生の一部になる瞬間があればこの上ない。
スタッフやキャスト、プロデューサーなどがひとつになることを求め続け、そのためには自分が何をやらないといけないのかを自分で決めないといけない。ただ映画を撮るという行為だけでなく、心がその方向だというところまでいかないとできない。

●映画と自然との関わり
青野会長:上富良野の映画を観たことで、すばらしい自然を知ってもらい、上富良野に行きたいなと思って訪れてくれることを期待したい。
田中さん:鑑賞した「おくりびと」でも山を背景にした印象的なシーンがあったが、映画と自然との関係というのはどのようなことを期待されるか。
滝田監督:自然は美しいが、美しいところだけ繋げても面白くない。俳優の感情と観ている人の感情を交換をしているから美しく見える。
「おくりびと」では上手く思いが通じて雪のシーンが撮れた。そういった奇跡があるから面白い。

●「泥流地帯」映画化について
滝田監督:大正から昭和初期となると時代劇になるので、再現するには必然的にお金がかかる。資金的な面などいろいろな問題が出てくるが、それを覚悟して映画を創るんだという思いを持った人がいないと成立しない。映画企画の成立は、映画製作に発意と責任を有する製作者を見つけることであり、こちら側が新たな一歩を踏み出さないと動かない。その意味では、現段階では、これまでと状況は何一つ変わらない。映画「泥流地帯」を創るひと、つまり映画製作者を見つけることが大切である。

映画監督 滝田洋二郎さん(A‐Team所属)
映画監督/富山県出身
1986年「コミック雑誌なんかいらない!」がニューヨーク近代美術館のNew Directors/New Films、カンヌ国際映画祭で上映、絶賛され注目を集める。以降1988年「木村家の人々」を皮切りに1990年「病院へ行こう」、1993年「僕らはみんな生きている」、1999年「お受験」、同年「秘密」、2001年「陰陽師」、2003年「壬生義士伝(日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞受賞)、2007年「バッテリー」と立て続けに話題作を発表。2008年「おくりびと」では、モントリオール世界映画祭グランプリを皮切りに国内外で103冠(2012年4月現在)、2009年には米国アカデミー賞外国語作品賞受賞という快挙を成し遂げた。
2014年には学術、スポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方に授与される紫綬褒章を受章。

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