文字サイズ
自治体の皆さまへ

中川町地域商社と東京都世田谷区サテライトスペース連携事業報告(第9回)

9/24

北海道中川町

令和2年度から始まった「中川町地域商社と東京都世田谷区サテライトスペース連携事業(以下、「本事業」と呼びます)」。事業開始から3年が経過し、様々な成果と課題が明らかになってきました。
そこで、今回は中間報告を兼ねて、地域商社の現状を、次回はサテライトスペースの現状について掲載します。

■地域商社の設立
本事業は、中川町内における製造業者の減少やバイパス工事の完了が中川町の地域経済に与える負の影響を深刻に考え、中川町の魅力的な地域資源を製品化し、サテライトスペースなどを通じて販売したり、観光商品の企画販売を行なったりすることを目的に始まりました。
事業を展開するにあたり、地域商社にも、それに関わる民間企業にも人材が足りていない現状が明らかでしたので、移住促進や雇用支援なども重要なテーマとなっています。

■(株)中川町地域開発振興公社の「地域商社化」
このような背景を受けて始まった本事業ですが、事業開始時点から、「地域商社」を新しく作るのか、既存の企業等を基盤に作るのかが議論されてきました。
議論は、地域商社の設立に向けて、民間の関係者を中心に、事業内容を議論するために設置された「地域商社設立準備委員会(委員長 吉田寛氏)」や、準備委員会の提言に基づいて組織体制を議論するために設置された「地域商社設立組織委員会(委員長 吉田義一氏)」において複数回に渡って行われ、(株)中川町地域開発振興公社(以下、公社)を「地域商社化」することとなりました。主な理由は以下のとおりです。
※「吉田」の「吉」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。

(1)公社はもともと、温泉施設の運営業務の受託だけでなく、観光振興や誘客を通じて地域振興を行う会社として設立された企業であること
(2)公社は、中川町が資本金の50%以上を出資する第3セクターであるため、後述する「公共支援事業」を展開するのに適した会社であったこと
(3)新規に会社を設立した場合、「地域商社」の重要な機能である販売促進を行う際、あらゆる取引先と新規の口座開設を行う必要や各種業法の届出や許可を新たに採る必要があり、それは非常に困難であること
これらの理由から、公社の定款の事業目的を変更し、さらに2つの部門を新設することで、地域商社としての機能を果たすべく、組織体制の見直しが進められてきました。

■新設された2つの部門
公社に新設されたのは、移住促進や町の情報発信、観光商品の企画販売などを担う「公共支援課」と、道の駅の運営支援やサテライトスペースの運営支援を行う「事業推進課」の2部門です。
公共支援課は、現在、役場内旧森林組合事務所跡に事務所を構えており、すでにお試し体験住宅や農村交流宿泊施設の運営受託や地域おこし協力隊のインターンシップの受入、観光商品の企画販売を手掛けています。
公共支援課で施設管理及び受付を受託して以来、お試し体験住宅の利用者は8名(R1)から18名(R4)に増加し、令和5年度はすでに27名の申し込みが来ています。また、着任後のミスマッチを防ぐために令和4年度から開始された地域おこし協力隊のインターンシップ制度も3名が利用し、2名が採用となっています。今後、お試し体験移住を移住や2地域居住に繋げるための様々な施策を実施していく予定です。
事業推進課は、一部地域産品の販売や加工を手掛け、「地域商社的」な事業を展開している道の駅なかがわの運営支援や、東京都世田谷区下高井戸に設置されたサテライトスペースの運営を担当しています。こちらの事業については次号でより詳しくお話させていただきます。

■業務執行責任者の就任
本来、公社は温泉運営を含む、様々な観光振興や誘客、地域振興を担うための企業ですが、近年は温泉運営に特化した営業を続けていましたので、組織体制や人員体制も温泉運営に適した形になっています。
従って、公社が地域商社化し、実績を上げていくために、2つの新設部門やサテライトスペースを運営するための組織、会社に変わっていく必要があります。
そのため公社では、現取締役の中から亀井義昭氏に「業務執行責任者※」に就任していただき、温泉運営だけにとどまらない公社の経営力の強化に踏み出しました。

※業務執行責任者
社長の決定する方針の実現のため、人材、予算、設備などを適切に配置し、各業務の責任者に指示を出し、事業を管轄する責任者のこと。

■愛称の決定
公社を「地域商社化」するにあたって、町民の皆様に広く、長く愛される組織になるため、愛称を募集していました。
町民のみなさまや温泉の利用者のみなさまから32件の応募がありました。地域商社設立組織委員会による厳正な審査の結果、愛称は「ナカガワのナカガワ」と決定しました。※温泉施設の名前は引き続き「ポンピラアクアリズイング」です。
採用された方々には、特産品が贈られます。応募くださったみなさま、誠にありがとうございました。
(※詳細は本紙をご参照ください。)

■今後の事業展開
公社の地域商社化の効果もあり、地域おこし協力隊を中心に、移住者は増加しています。協力隊の多くが町内で起業し、そのジャンルも工芸、宿泊業、ガイド業、木材流通、飲食業など多岐に渡ります。9名が新規に商工会員になるなど、商工・観光振興上も大きな成果となっています。
一方、町内企業の正職員の求人募集は、月平均約30名ほど出続けており、令和5年に入り40名を超える月が増加しています。町内の働き手不足はそれだけ深刻であり、公共支援課を中心に、移住・雇用対策に力を入れていく必要があります。
また、町内施設やサテライトスペースでの売上増加、ふるさと納税寄附の増額のためにも、中川町の農林産物を原料にした、魅力的な特産品の開発を進める必要があります。従来の枠組みに捉われない新たな特産品開発の仕組みづくりを進めていきます。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU