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保健だより

10/24

北海道中川町

■〔今月のテーマ〕胃がんの発症を予防するために 〜萎縮性胃炎の所見に注意〜
胃がんは、長年、日本のがん死亡率の第1位でしたが、1960年代から胃エックス線検査による胃がん検診が普及し、がんの早期発見がなされ、死亡率の低下傾向が続いています。
現在は、男性で肺がん、大腸がんに次いで第3位、女性で第5位となっています。
しかし、胃がんの罹患数については、2019年では男性で約8万5千人、女性で約3万9千人と、人口の高齢化の影響もありますが、大きな減少がないのが現状です。
早期発見・早期治療により死亡率の減少につながるのは喜ばしいことですが、今後は胃がんの発症を予防するための対策が重要です。

▼胃がん発症のリスクとは?
喫煙や高脂肪食、高塩分は胃の粘膜を変化させ、胃がんの発症に影響することがわかっています。近年の研究ではさらに、
・ピロリ菌の胃粘膜への感染が、萎縮性胃炎を経て胃がんの発症に強く関与すること
・ピロリ菌の除菌で、胃がんの発症の可能性が大きく低下すること
が明らかになっています。
胃がん検診においても、胃がんの前段階ともいえる萎縮性胃炎の所見が注目されるようになってきました。

▽萎縮性胃炎とは?
ピロリ菌が長く胃に住み続けることにより、胃の粘膜の表面の細胞が破壊され、修復も間に合わず、粘膜が薄く弱くなった状態です。
萎縮性胃炎が進むと、粘膜が発がん性物質の影響を受けて胃がんが発生しやすくなります。
原因となるピロリ菌は一度感染すると、菌はそのまま胃の中に定着し、ほぼ一生持続しますので、除菌が大切です。

▼町の胃がん検診結果から
下表は、令和4年度の町の胃がん検診の有所見者の状況を表したものです。
受診者106人のうち、所見のあったものは61人(58・7%)で、その内の29人(47・5%)に「萎縮性胃炎(疑い含む)」が見られました。
有所見者の約半数が、将来的に胃がんを発症させる可能性が高いという状況です。

▽表 令和4年度中川町胃がん検診結果 有所見者の内訳(有所見者61人中)

▼萎縮性胃炎と診断されたら
まずは、ピロリ菌の感染の有無を調べることが大切です。
ピロリ菌は自然に消滅することはありませんので、陽性の場合は薬により除菌する必要があります。
陰性であっても、胃がん発症のリスクをゼロにできることはありませんので、定期的に胃カメラ検査で粘膜の状況や萎縮性胃炎の進行を把握していくことがすすめられます。

▼胃がん検診の方向性
これまでの胃がん検診は胃がんの有無を診断し、がんの疑いのある方を精密検査につなげることが中心でした。
最近は、従来の早期発見に加えて、がんを発症させるリスクも診断するという方向へ変わってきています。
今年度から町の7月の胃がん検診でも、従来の腫瘍の診断に加え胃粘膜萎縮度の診断を行い、「胃粘膜所見」として、「萎縮なし、萎縮あり、高度萎縮、判定不能」の4段階で表示されることになりました。
また、10月の胃がん検診では、萎縮性胃炎の疑いのある方は「ピロリ胃炎」と通知されます。
胃がん検診を受ける方は、ぜひ注目し、所見のあった方は医療機関でピロリ菌検査を受ける等、胃がんの発症予防に努めましょう。

問い合わせ先:住民課幸福(しあわせ)推進室 保健師
【電話】7-2813

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