文字サイズ
自治体の皆さまへ

感動の場・点

29/34

北海道倶知安町

■『巡礼家族』1983年小川原脩画
巡礼家族、この題名も小川原脩が好んで用いたものの一つです。ここでいう巡礼とは、チベット仏教徒のもので、集落または家族で一団となって、聖地であるラサや、仏の化身とあがめられるカイラス山を目指す旅を指しています。小川原脩がはじめて巡礼者の姿を目撃したのは、1981年のラサでのことでした。翌年にも再訪、さらにチベット文化の原型を見るべく1983年にはインド・ラダックへと足を延ばしました。
ラダックから戻った1983年10月、札幌時計台ギャラリーで開催した個展は「チベット―その聖と俗」という副題が添えられていました。案内状の文章には「千の蓮弁(れんべん)ヒマラヤに囲まれた高地炎天下大地に身を投じ祈る巡禮(じゅんれい)の生きざま草一本生えない禿山稜角(りょうかく)上のゆるぎない結晶体白く乾いた僧院建築群…」とありました。
この作品にも白い建物のかたまり、身を寄せ合う3人の家族、そして地面に鼻を寄せる犬が一匹。不思議な組み合わせに思えますが、チベットの巡礼者や街角で受けた印象を、端的に、しかし情感豊かに描き出しています。
文:沼田絵美(小川原脩記念美術館学芸員)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU