昨年、市制施行100年を迎えた旭川市。その歴史は大きな志を抱いた、先人たちによる挑戦の積み重ねです。このコーナーでは、全国や世界で活躍されている旭川市出身の方やゆかりがある方をご紹介します。
■女優 潤花(じゅんはな)さん
旭川市出身。旭川藤女子高校(現・旭川藤星)在学中の平成26年に宝塚音楽学校入学。同28年、宝塚歌劇団に102期生として入団。星組公演で初舞台を踏み、後に雪組へ。チャーミングな雰囲気と華やかなダンスで注目を集め、令和3年2月に宙組トップ娘役に就任。今年6月に退団し、7月から芸能事務所アミューズに所属
▽温かい旭川で浄化とリセットを
幼い頃からドラマや映画が好きで、俳優の真似(まね)をしたり、リカちゃん人形でお芝居遊びをしていました。ずっと「自分も演じたい」という気持ちがあり、小中学校の行事でもお芝居を発表しました。後に宝塚歌劇団で生きるバレエは小学2年生で始め、演じるのに夢中でした。バレエ漬けになる前は、自然の中やアスレチックでアクロバティックに遊び、冬も雪合戦やスケート、スキーを満喫しました。
1年だけ通った高校でも、楽しい毎日でした。友達は私のいたずらを許し、勉強を助けてくれる温かい人ばかり。宝塚音楽学校の受験が決まると、みんなが応援や協力をしてくれました。担任のT先生は「勉強会」と称し、お化け屋敷やバーベキュー、花火もあるお泊まり会を開いてくれました。今も特別な思い出です。
地元での出会いは「旭川の人は温かい」という印象につながっています。豊かな自然とおいしいごはん、広い空のおかげで、穏やかで優しい人が多いのでしょうね。
帰省すると旭川空港でアイスを食べ、牧場の牛の写真を撮り、母の手料理を食べ、好きなお店に行きます。きれいなガーデンがある駅周辺もお気に入り。「宝塚歌劇団に入る前、自分はここで生活していたんだ」と実感します。温かい人に会い、自然に触れ、心が浄化される。この豊かさは忙しい毎日で忘れがちなので、「また頑張りたい」とスイッチが入ります。
▽自分をごまかさず「役を生きる」
宝塚歌劇団ではコロナ禍でも演じ続け、身に染みたのは「人がつながる力」のすごさです。「こうなりたい」と意志を強く持てば、出会いは広がるとも学びました。戦争や災害など、いつ何が起きるか分かりません。だから「今を生きる」が私の大切な言葉です。
時に過酷なレッスンも「役を生きる」という生きがいに支えられています。演技でお客様に活力を届けられると、「このために仕事をしているんだ」と思えます。
つらい、悔しい、悲しいことがあれば、私はごまかさず受け止めます。自分にうそをつくと、本当に大切なものが分からなくなり、役を生きる上でも邪魔になりますから。そして引きずらないよう、とことん落ち込んで泣いて寝て、翌日からプラスになる行いをします。マイナスの出来事も、自分の行動の結果。それなら行動で変えていくのが一番です。
▽新しい世界で、挑戦を広げたい
宝塚歌劇団退団後は、経験を踏まえて新しい世界を見てみたいと考えました。今後は「宙組(そらぐみ)トップ娘役」の肩書がない1人の女優として、映画やドラマ、舞台などジャンルを問わず挑戦し、お芝居以外の発信もしていきたいです。以前は切羽詰まると「とりあえず走ってみよう」とばたばたしていましたが、今は違います。不安はあっても「ゆっくり色々なものを見よう」という思考になりました。将来は、多くの人の気持ちや行動を動かせる女優になります!
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