文字サイズ
自治体の皆さまへ

子育てコラム

18/31

北海道東神楽町

◆「育つ」「育てる」「育ちあう」子育て
私が尊敬する子育て支援活動「親子育」をされている日吉佳代子氏(宇都宮共和大学子ども生活学部名誉教授)は、子育てとは「育つ」「育てる」「育ち合う」ものとしています。

◇子どもは「育つ」存在
前回、子どもの中にある「生きる力」を、「自己教育力」と「自己治癒力」として、子どもの問題解決には、それが発揮できるように支援することが最善と申し上げました。
近年の保育・幼児教育では、「子ども主体の保育」「環境による保育」が主流になりつつあります。子どもを「教育する」「育てる」存在から「自ら育つ」存在として見て、保育や幼児教育を行うという考え方です。
子どもは生活や「遊び」を通して、子ども自らが試行錯誤し発見し学習を積み重ねていきます。子どもがより興味関心を持つ環境の設定を工夫し整備して、日々の保育・幼児教育が子どもの育ちにどのように繋がっているのかを深く理解していくことで、より良い保育・幼児教育が展開できる、ということです。

◇大人は「育てる」存在
子ども自身は自ら「育つ」存在ではありますが、自らの認識を言葉で整理・表現したり、他者と協働して関わること、物や環境、自然と折り合いをつけて適切に活用していくためには、未成熟な部分も多くあります。もちろん未成熟さゆえの失敗にも貴重な学びが存在していますが、物を壊したり、自分や他者を傷つけたり、必要な制限やルールを守ることなどは大人が教えていくことが必要です。
子どもをなすが儘に「放任」することと、子ども自身の「育ち」を重視することはイコールではなくて「育ち」の先を見通して、人や物と共に社会に生きる人として成長できるように「主体性」を損なわないように「育てる」方法を模索する。というのが現代の大人の課題なのかもしれません。

◇子どもと大人は「育ちあう」存在
自ら「育つ」子どもと「育てる」大人とのかかわりの中に「育ち合う」関係を形成していくことが求められます。例えば「怒る」は大人の怒りの感情を子どもにぶつけること「叱る」は何がいけないことかどうすればよいのかを子どもに理解させる行為といえます。乳幼児期は、「怒る」ことはせず「叱る」もできるだけ避けて「一緒に考える」「一緒にやってみる」「気づきを見守る」「~できるかな(やる気を誘う)」など、子どもに合ったかかわりの可能性を発見していく営み「育ち合う」関係を創れるといいですね。

◆杉本太平(すぎもとたいへい) プロフィール
宇都宮共和大学子ども生活学部教授。資格は認定心理士、人間関係士。東京都文京区教育センターの心理相談員や埼玉県下で乳幼児健診・乳幼児発達支援・子育て支援などに従事し、現在大学において保育者養成に務めている。その他、人間関係・HRST研究会会長として関係学理論を背景に独自に開発した地域住民や対人支援の専門職者を対象に心理劇を用いたアクティブラーニング(HRST)の研修会を主催し、子育て支援者の養成を中心に各種の講演活動、子育て・人間関係に関する出版物の発行を行っている。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU