子どもが子どもらしくいられるためにヤングケアラーを支える

5／47

「ヤングケアラー」とは、家事や家族の世話(ケア)などを、お手伝いの範囲を超えて日常的にしている子どものことです。子どもの年齢や成長に見合わないケアを行うことにより、疲労や睡眠不足、不安や苦痛など心身の健康に影響が出ることがあります。また、勉強や友達と遊ぶことに自分の時間を使えず、友達との話題についていけないこともあります。このように、本来守られるべき子どもの権利が守られていないことが問題となっています。
ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、子ども自身が家族の世話をするのが当たり前と思っていて、その大変さを自覚していないことなど、相談や支援につながりにくい現状があります。また、子ども自身が家族の世話をすることにやりがいを感じている場合もあります。
ヤングケアラー自身からのSOSの発信は難しいことから、周囲の大人が、学校や地域の子どもたちの様子を普段から気にかけ、ヤングケアラーを支えていくことが大切です。

◆ヤングケアラーって、どんな子どもたち?
・家族の代わりに、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている。
・家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている。
・障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている。
・目の離せない家族の見守りや声かけなどの気遣いをしている。
・日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳している。
・家計を支えるために労働をして、家族を支えている。
・アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している。
・がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族を看病している。
・障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている。
・障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている。

◆こんな影響があるかも…
・家事などで学校を遅刻したり…
・授業に集中できなくなったり…
・成績に影響がでたり…
・からだに不調がでたり…
出典：こども家庭庁(【HP】https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer/　参照2023-09-19)を加工して作成

◆地域の子どもに目を向けて
ヤングケアラーを支援している北海道ヤングケアラー相談サポートセンター(以下：ヤンサポ)の加藤高一郎センター長から話を伺いました。

・誰でも気軽に相談を
ヤンサポは、ヤングケアラーを支援するために北海道が令和4年6月に江別市に設置した相談窓口です。ヤンサポでは相談員が、子どもや周囲の大人からの電話やメール、SNS、HP、来所での相談に対応しています。
相談者は、子どもよりも大人が多いです。
その理由は、ヤングケアラー自身が頑張り過ぎていることに気付いていないためです。「相談するほどではない」「頑張りすぎていない」と思っている子どもが多いのです。
ヤンサポには、相談ではなくても、どんな小さなことでも構わないので、気軽に連絡してほしいです。

・じっくり話をきく場所
ヤンサポでは、電話やメールの相談であっても、真摯(しんし)に向き合い、じっくりと話を聞きます。自分のことを話すだけでも、気持ちの整理がつき、解決する場合がほとんどです。ヤングケアラーには、誰かに話を聞いてもらえる場所が必要なのだと思います。

・正しく理解してほしい
ヤングケアラーという言葉を聞いて、「かわいそう」「虐待だ」と言う人がいますが、必ずしもそうではありません。ヤングケアラーの多くは、責任感を持って「家族を支えたい」と思っています。その子どもたちの頑張りを外から判断して、勝手なことを言うのは違うと思います。子どもが家族のケアをして、支え合って生きていることを一概に「悪」だと決めつけないでほしいです。
実際に子どもの声を聞いてみると、多くの子が「家族のために頑張りたい」と話します。
支援の本質は、本人の意見を聞いて、本人の「家族を支えたい」という気持ちを大切にすることです。家族のケアと、学校に行くことや好きなことをすること、将来の夢を叶えることなどを両立できるように支援していくことが重要です。

・地域で見守っていくために
もし、あなたの周りにヤングケアラーかなと思う子どもがいた時、大人は何をしたらいいのか、一度考えてみてください。
私たちが考えるヤングケアラーのために地域の大人ができることは、正しく理解し、あいさつや声かけをすることです。
子どもは、大人から見守られていると感じられることが重要だと思います。少しの声かけから徐々に関係性ができてくると、子どもから相談されるようになります。そこでじっくりと話を聞いてあげてください。解決させることが全てではありません。話を聞くだけでも、子どもは安心できたりするものです。
一人でも多くの大人が、地域の子どもに関心を持つようになってほしいです。

◇北海道ヤングケアラー相談サポートセンター(略称：ヤンサポ)
東野幌本町7-5　セリオ野幌店内
【電話】0120-516-086(平日8：45～17：30)
【E-mail】hokkaido.young.carer2022@gmail.com
【ショートメール】080-9612-1247

◇ほかの相談窓口
・江別市子育て支援課【電話】381-1236(平日8：45～17：15)
・江別市教育委員会教育支援課【電話】381-1409(平日8：45～17：15)
・児童相談所相談専用ダイヤル【電話】0120-189-783(24時間対応)
・北海道子ども相談支援センター【電話】0120-3882-56(24時間対応)

詳細：子育て支援課
【電話】381-1236