教育行政執行方針(1)

6／34

令和5年由仁町議会第2回定例会の開会にあたり、教育委員会の所管行政の執行に関する基本的な考え方とおもな施策について申し上げます。

I.はじめに
いまだ新型コロナウイルス感染症が収束しないなか、ロシアのウクライナ侵攻、米中の経済戦争、食料・エネルギー危機、地球温暖化による環境問題、世界各地での民族間格差やジェンダー格差など、さまざまな世界レベルでの予測不可能な課題が発生しています。そんな時代だからこそ、平和な社会、民主主義の尊さが問われています。
由仁の子供たちには、グローバル社会のなかで、平和と民主主義の理念に立って、自然豊かな由仁の大地で、はっきりとした将来の夢をもち、夢に向かって挑戦する人づくりを目指して取り組んでまいります。また、町民のみなさんも、平和で安全な社会のなかで、健康で生き生きと、生涯学び続ける環境づくりを進めてまいります。

II.主要施策の推進
それでは、教育委員会が取り組むおもな施策について申し上げます。

1.学校教育の充実
現代は社会の変化が激しく、将来は予測が困難です。このような状況のなか、今求められている人材は、課題解決能力だけではなく、問題発見・解決能力だといわれています。そのためには、子供たちが主体的に学ぶこと、その習慣を身につけさせることが重要だと考えます。教育現場におけるICTの活用によって、子供たちの学びのフィールドが飛躍的に拡大しました。子供たちはタブレット端末を使って、時間と空間を超えて、あらゆる体験を行うことができます。新たな体験が、新たな主体的な学びの意欲につながっていく、そのような好循環を生み出すことができると期待しています。
令和2年度より導入した全児童生徒への一人一台端末の積極的な活用を環境面で整備するために、本年度は小中学校の教室に移動式の大型モニターを配備します。

また、専門的知識をもった人材「GIGAスクールサポーター」の配置を継続してまいります。さらに、将来の情報技術の習得のために外部人材を活用したプログラミング学習にも取り組んでまいります。

当町は令和5年3月6日に「ゼロカーボンシティ宣言」を行いました。学校教育においてもSDGsをふまえたESD(持続可能な開発のための教育)の推進は重要です。小中学校において、各教科と関連づけて、環境教育、人権教育、国際理解教育などを進めてまいります。
また、社会教育分野においてもSDGsをふまえた学びが拡がるように取り組んでまいります。

基礎学力向上につきましては、全国学力・学習状況調査などの結果分析による指導の重点化はもとより、義務教育9年間を通じた系統的な指導計画の策定、専科教員の配置による指導の深化、放課後学習や長期休業期間中の講習会、学びの改善と学習習慣の定着などを図ってまいります。また、子供たちの主体的な学びの育成と学習意欲の向上を図るため、英語や漢字などの検定料補助を継続してまいります。

小中一貫教育につきましては、昨年度まで新型コロナウイルス感染症の影響から最小限の取組にとどまっていましたが、本年度から計画的に進めてまいります。
具体的には、中1ギャップ解消のために小学校の算数に一部教科担任制を導入し、中学校の数学の教員が担当します。また、小中合同で各教科の9年間の教科指導系統表の作成、中学校への一日体験登校、部活動体験、地域一斉クリーン作戦、認知症サポーター講習などの取組を進めてまいります。さらに、小中一貫教育の推進体制も整備してまいります。
特別支援教育につきましては、小中学校の情報共有による連携強化と、通級指導の充実、支援員の配置により、個々の教育的ニーズに応じた指導や支援、教育環境の整備・充実を図り、子供たちの能力や可能性を最大限に伸ばすための体制づくりに努めてまいります。

いじめや不登校・児童虐待への対応につきましては、未然防止と早期の対応が重要です。いじめ等の積極的な認知と組織的な対応とともに、いじめゼロ集会など、学校生活のなかで子供たちが主体となって取組を進め、望ましい人間関係を築く力を育めるよう努めてまいります。
また、スクールカウンセラーや教育相談員のほか、町保健福祉課や関係機関と連携するなど、状況に応じて適切に対応してまいります。
体力と運動習慣の向上対策につきましては、全国体力・運動能力、運動習慣等調査にくわえ、新体力テストの全学年実施と結果分析による指導の重点化を図るとともに、部活動や少年団活動への支援により運動習慣の定着と健やかな体の育成に努めてまいります。また、子供たちが日頃から遊びやスポーツなどを通じて運動する環境づくりが重要であることから、本年度は中学校のグラウンドを整備してまいります。