【町政運営の基本姿勢】
令和6年第1回苫前町議会定例会の開会に当たり、令和6年度の町政執行に対する私の所信を申し上げます。
はじめに、改めて令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
被災地の情報に触れるたびに、見えてきた課題なども踏まえ、地域の防災力を高め、災害に強いまちづくりを進めて行かなければならないと、強く感じているところであります。
さて、私が昨年5月より2期目の町政を担わせていただき、早1年が過ぎようとしております。
この間、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが第5類へと移行し、社会が少しずつ活気を取り戻しつつも、ウクライナ危機の長期化や中東情勢の深刻化、更には円安や物価上昇の影響も続いており、予断を許さない社会情勢であります。
その様な中、2年目となる令和6年度におきましては、引き続き合言葉として掲げた「いつまでも暮らしていける苫前」の実現を目指し、「産業振興」「GX・DX」「安全・安心な生活」「子育て支援」の4つの柱を中心に、住民生活の基盤整備にしっかりと取り組み、これからの苫前町発展の礎となるよう、地域と一体となって町政を進めてまいります。
【令和6年度の主要施策の展開】
次に、令和6年度の主要施策の展開についてであります。
これからの苫前町の更なる発展に欠かせない、住民生活の基盤整備にしっかりと取り組むことを基本的な考え方として、具体的に、7つの分野に分けて申し上げます。
1【産業の振興と地域活性化】
1点目は、「産業の振興と地域活性化」であります。農業及び漁業の生産基盤の強化をはじめ、地場産品のブランド化や観光振興を図り、人を呼び込む施策に取り組んでまいります。
(農業)
農業経営は、肥料や農薬、燃料の価格高騰により、依然として厳しい状況にありますが、本町においては、「安全・安心な農産物」としてのブランド力を活かし、「とままえメロン」の地域商標登録の取得や良食味米である特別栽培米の販路拡大イベントを開催するなど、様々な事業や施策を活用し対応してきたところであり、引き続き加工品の開発や高付加価値化・ブランド化を積極的に推進し、ふるさと納税の拡大にも資するよう力を注いでまいります。
また、労働力不足を解消する省力化に向けた取組として、スマート農業の導入を推進してまいりましたが、今後は町内全域に整備された光ファイバー網を活用した農地Wi-Fiの整備などを含め、更なる推進を図るべく関係機関と協議してまいります。
更に、令和5年度に実施した町営穀類乾燥調製施設の拡充は、貯蔵能力の不足を解消し、有利販売を可能とすることによる収益の向上とともに、国の水田利活用施策の厳格化に対応する施策としても期待をしているところであります。
畜産関係では、令和3年度に指定管理者制度を導入した苫前町上平共同利用模範牧場について、草地の植生改善及び老朽化している育成舎や作業機械などの更新のため、令和6年度より調査計画事業を実施します。指定管理者との連携のもと、将来にわたって効率的な運営が図られるよう取り組んでまいります。
農業基盤整備関係では、旭、昭和、香川地区における畑地かんがい用水の要となる揚水機場やパイプライン等に経年劣化がみられることから、北海道開発局や北海道留萌振興局などの関係機関と協議を進めているところであります。
今後とも農業の多面的機能の発揮に不可欠な農地・農業用水等の保全・確保はもとより、地域の防災・減災の観点から、将来に向け、持続可能で多様性を持った農業・農村づくりを推進してまいります。
(漁業)
国直轄の第3種漁港である苫前漁港について、次期特定漁港漁場整備事業計画が国から承認され、スタートする予定であります。これからの本町漁業振興の確固たる基盤施設として、かねてから要望している新港区の整備や低天端岸壁の整備を含め、本整備計画が着実に進むよう引き続き国に要望してまいります。
また、漁港整備により影響を受ける海域について、水産生物生息調査を行い、移植放流に向けて検討するとともに、既存施設を有効活用した「海業」の取組や、漁港施設等における省エネルギー化、再生可能エネルギーの地産地消等の検討を引き続き進めてまいります。
加えて苫前漁港第3港区について、今後の蓄養水面としての利活用を目指し、ICT観測ブイ設置による水産物の品質管理や、時化や漁期による影響を緩和するための出荷調整や通年出荷体制の可能性について蓄養実証試験を実施するとともに、ブルーカーボンに寄与するコンブの養殖試験を実施し、「つくり育てる漁業」を実践することにより、持続可能な漁業の推進と漁業者の経営安定化に寄与してまいります。
更には、第1種漁港である力昼漁港について、施設の老朽化対策や現在実施中の外防波堤延伸工事について早急に完成するよう、管理者である北海道に引き続き要望するとともに、町としても機能確保に努めてまいります。
(林業)
令和4年度に伐採した町有林について、炭素吸収量が多いとされている広葉樹林への転換を図ることにより、森林の有する多面的機能をより発揮できる森づくりを目指してまいります。
これは「伐って、使って、植える」という資源の循環利用を進め、木材利用を拡大していくという、カーボンニュートラルの実現に資する取組であるとともに、海洋へのミネラル供給源として藻場造成を促し、漁業資源の増加による漁業収益の向上を目指す取組でもあり、引き続き広葉樹林への転換に取り組んでまいります。
また、私有林については、森林環境譲与税を活用しながら、間伐等の森林整備が促進されるよう、支援制度の充実や適正な森林管理と環境保全に配慮した持続可能な森林経営を支援してまいります。
更には、森林環境税の課税が開始されることから、その適切かつ有効な活用に努めるとともに、森林整備をはじめ、林業人材の育成や普及啓発と公共施設等への木材利用の拡大に努めてまいります。
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