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自治体の皆さまへ

-特集-ほっといたらあかん。「家」のこれからを考える(4)

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和歌山県紀の川市

■Interview05 複雑だった思いも今は心から感謝
中迫郁子さん
紀の川市で生まれ育ち、現在は横浜市に在住。令和3年に紀の川市空き家バンクを利用し、実家を売却。

平成29年に母が私の家で同居を始めたのを機に実家が空き家になりました。私が大学に進学してから建てた家なので、実際に住んでいませんでしたが、子どもたちと毎冬、毎夏帰省した思い出がたくさん詰まった場所でした。
父が亡くなってから母が大切に守ってきた家だったので、母がいる間は家の今後についての話をしませんでした。また、私自身も売りたくないという気持ちがありました。
令和元年に母が亡くなった後、私と妹が家を相続し、管理を続けてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症が流行し、紀の川市に帰りづらい状況に。半年ほど経ち、家を見に行った時の傷み具合を見て、家の今後を考えるようになりました。
当初は近所に住む人たちの役に立てないかと思い、自治体に相談しました。しかし、それは叶いませんでした。令和3年に紀の川市空き家バンクが設立されたことを知り、7月に登録しました。登録する時は、心苦しさがあったのを今も覚えています。しかし、母が周りに支えられながらも大切に管理してきた家が荒れ果ててしまうのは余計に悲しいと思い、登録を決めました。
私は家を売却する条件として「近所の人たちとうまくやっていける人であること」「町内会に入ること」を提示しました。これは所有者の責任であると私は考えていました。通常の売却だとこのような条件は受けてくれていなかったと思います。しかし、行政が運営する空き家バンクだからこそ、所有者側の思いをくみ取ってくれました。
そして、12月に内覧したいという人が現れました。売却すると決めていたものの、複雑な思いがありました。実際会って話をする中で、明るくて前向きな印象を持ち、この人なら大丈夫と思い、譲ることを決めました。この家で末永く幸せに暮らしてほしいと心から願いました。
数か月後、「とてもいい人に譲ったね」と近所の人から連絡をもらい、とてもうれしい気持ちになりました。手放したくなかった思いも今となれば、家を引き継ぎ、新しい命を吹き込んでくれた購入者と空き家バンクに携わってくれた人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。

▽紀の川市空き家バンクのイメージ

紀の川市役所地域創生課 中豊晴さん
「空き家を売りたい!貸したい!そんな時は空き家バンクに登録ください!」

■Interview06 一人一人に寄り添い最後まで支援したい
益田照久さん・鎌﨑純次さん
NPO法人空き家コンシェルジュに所属する2人。
空き家相談を全力で受け止める。

私たちは10月1日に開設した「紀の川市空き家の窓口(紀の川市空き家総合相談窓口)」で相談員をしています。
行政の窓口対応は基本平日。仕事をしている空き家所有者は相談しづらい状況です。また、紀の川市内には空き家が多く、相談件数も増加していることから、市が空き家に関するサポートをより強化するために開設しました。
空き家の問題はすごく身近なものです。突然の相続により、空き家所有者になるケースは少なくありません。急に空き家の所有者になり、「何をしたらいいかわからない」そんな人こそ、私たちを頼ってください。一人で悩んでいても、一向に解決には向かいません。
私たちの仕事は、空き家の確認や専門業者との取り次ぎ、空き家バンクへの物件登録など、空き家の活用を推進していくことです。空き家の活用方法はさまざま。一人一人にあった解決方法を一緒に導きだしていきたいと思っています。悩み、相談があれば、いつでも連絡ください。

▽家のことで困ったときは…空き家の窓口に相談しよう!
場所:粉河1781番地2(粉河とんまか通り)
開設時間:午前9時~午後6時(毎週水・日、12月29日~1月3日は休み)
内容:空き家に関する相談、自宅の今後の相談など、気軽に利用ください。

問い合わせ:【電話】0736-67-8515

■大切な場所だからこそ…
空き家問題は所有者や地域から見れば頭の痛い問題かもしれません。しかし、空き家に魅力を感じ活用する人たちも増えてきています。空き家をマイナスに捉えるのではなく、必要とする人に大切に使ってもらえることができれば、家や地域の元気につながります。

「たくさん思い出の詰まった家だから手放したくない…」

「いつか利用するかもしれない…」

理由はさまざまですが、空き家のまま放置する人が多いのが現状です。大切にしてきた家が劣化し、周囲に迷惑をかけてしまっては、余計につらい気持ちになりませんか。
家族の大切な思い出がたくさん詰まった家だからこそ、空き家になる前に、周りに迷惑をかける前に、家族でこれからを話し合うことが大切です。そして、話し合いに行き詰った時には、頼れる相談窓口に相談してみてはいかがでしょうか。

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