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-特集-ほっといたらあかん。「家」のこれからを考える(3)

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和歌山県紀の川市

■Interview03 居心地のいい空間は自分たちの手で作り上げる
馬越忠昭さん・愛さん
令和2年に築100年の空き家の古民家を購入し、翌年、紀の川市に移住。人が集まる古民家を目指し、古民家茶論舎逢(さろんやあい)を経営。

いつか和歌山で住みたいと思っていました。当初は普通の一軒家を探していましたが、たまたまネットで見た紀の川市内の大きな古民家。それがこの家との出会いでした。2人で住むには広すぎると、悩みに悩んだ末、購入を決意。購入当初は「大変やね。これどうすんの」と近所の人から言われることもありました。
主屋はすぐに住める状態ではなく、どこから動物が入ってくるかわからないようなひどい状態。幸い離れが増築されていたので、そこで生活をしながらDIYを始めました。最初は片付けから始め、壁に漆喰(しっくい)を塗ったり、土間をつくりカウンターキッチンを設置するなど、近所や友人の協力を得ながらも自らの手で進めてきました。技術が足りないと思う部分もありますが、自分たちで作ったと思うと愛着が湧いてきます。
空き家は古くて汚い。そう思われがちですが、メリットはたくさんあります。特に資金面です。苦しいローンを払い続けるより、一括で購入できる物件を探して自分たちで育てていく、それも人生の選択肢のひとつです。空き家の利活用は今の時代のニーズにぴったりだと思っています。また、空き家を求めている若い人たちはたくさんいます。ずっと住んでいる人には気づきにくい魅力を他府県の人たちは感じているかもしれません。
ここに住んで2年。離れの一部は改装し、行政書士事務所を開業。主屋はこの古民家の魅力を色んな人とシェアしたいと思い、不定期の古民家カフェやボードゲーム大会などのイベントを開催しています。「なんか落ち着く」そう言ってくれるお客さんもいます。譲り受けた大切な家に愛着を持って生活していくためにも、居心地いい空間を自分たちで作り上げていきたいと思っています。

■Interview04 やりたいことをすべて叶えられる場所
川畑久美子さん・寛晃さん
令和2年に元水産業を営んでいた倉庫付き空き家を購入。模型を作るための貸しスペース「カフェと模型工房iiba」を経営。

妻はモデルハウスの演出用などに家具を貸し出すホームステージング事業をしています。貸出用の家具を貸し倉庫や自宅で保管していたこともあり、とにかく広い場所に引っ越したいと思い、空き家を探し始めました。大阪府内で物件を探していましたが、いい物件を見つけるもタイミングが合わず。範囲を広げて探していると、紀の川市内にあるこの物件と出会い、移住を決めました。
住み始めたころは、水回りが機能せず、かなり困りました。水が出たのは、倉庫の中にある事務所1か所のみ。そこで生活をしながら、居住スペースのDIYを進めていきました。最初は虫の死骸や多量のごみなどに戸惑うこともありましたが、手を加えていくことで、日に日に快適になることが分かり、生活も楽しくなってきました。
また、倉庫を活用したカフェ兼模型作りの貸しスペースを行うため、倉庫の改修も同時に進めていきました。模型作りは塗料の溶剤としてシンナーを使用したり、細かな粉が出るので、子どもがいる家庭ではやりにくい作業。私自身も職場の事務所で作業していたので、同じような境遇の人たちが思いっきり模型作りに集中できる場所を提供したいと思っています。倉庫の活用以外にも、4棟あるうちの1棟を宿泊できるスペースにしたいと考え改修を進めています。ここに住み始めてからは、やりたいことがどんどん出てきて、次は何をしようかと考えると毎日わくわくしてきます。
人は自分の生活を自分で作りたい欲求があると思っています。買ったものばかり揃えるより、自分で暮らしを作っていく。ここで住んでいると人間の欲求が満たされていく気がするんです。今後もやりたいことがたくさんあります。まだまだ、夢半ば。これからこの場所で夢を叶えていきます。

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