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自治体の皆さまへ

≪特集≫知って 備える 認知症(1)

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埼玉県ふじみ野市

皆さんは「認知症」についてご存じですか。認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が壊れたり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障がいが起こり、生活する上で、支障が出ている状態が継続していることを指します。認知症は珍しい病気ではなく、誰にでも起こり得る病気です。

◆高齢化と認知症
6月1日現在のふじみ野市の高齢化率(総人口に対する65歳以上の人口比率)は25・5%、後期高齢者(75歳以上)は15%です。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。家族の誰かが認知症になっても不思議ではありません。
また、6月14日には認知症基本法が成立しました。認知症施策の策定と実施を国や地方公共団体の責務とし、認知症の人が地域で尊厳を保ちつつ、共生できるようにすることが基本理念として盛り込まれています。誰にでも起こり得る病気として認知症のことを知って、備えることが大切です。

◆困ったときはすぐに相談
認知症は経過の個人差が大きく、進行が遅いこともあります。認知症は早期の受診や治療によって進行を緩やかにすることができますので、おかしいなと思った段階で早めの受診をお勧めします。市では高齢者あんしん相談センターを設置しています。困ったことや介護保険の利用の相談などがある際にはぜひお問い合せください。高齢者あんしん相談センターの詳細は市ホームページをご覧ください。
・高齢者あんしん相談センターふくおか【電話】049・261・1126
・高齢者あんしん相談センターかすみがおか【電話】049・264・7620
・高齢者あんしん相談センターつるがまい【電話】049・256・6061
・高齢者あんしん相談センターおおい【電話】049・261・3021

◆認知症とこころの対応
ものわすれ外来を運営する富家病院の院長富家隆樹さんに認知症とこころの対応についてインタビューしました。

富家 隆樹さん(富家病院院長)

▽認知症の行動原理
認知症は認知機能低下により、生活や社会活動などが困難になる病気を総称したものです。ただし、認知症になったとしても、感情や自尊心は維持されるので、これまで通り「一人のひと」としてその言動を尊重することがとても重要です。
ひとり歩き(徘徊(はいかい))や妄想などの認知症に付随する「問題行動」は、周りの人には理解しづらいことかもしれませんが、実は、その人なりの考えや目的があります。なぜそのような言動にいたったのか、その目的を理解しようと努力することが大切です。
外来で患者さんと接していると、問題行動はその人の「愛」が行動原理になっていることが多いと感じます。旦那さんのことが好き過ぎるが故に浮気妄想が出現したり、大切なお孫さんにお小遣いをあげたいがためにお金に執着したりします。このような認知症の人の言動に隠れた「愛」が問題解決の糸口になります。

▽早期発見のポイント
認知症の発症初期にさまざまな問題行動に直面した家族は、それが認知症のせいだとは思えず「なぜこんなことをするの?」という感情から、ものわすれを叱責したり、できなくなったことを指摘したりしがちですが、実はそれが症状の悪化につながってしまいます。認知機能の低下に家族が早めに気付き、適切に対応することで、認知症の悪化を抑制することができます。専門家だけが認知症のことを詳しく知っているのではなく、地域の皆さんが認知症のことをよく理解して「もしかしたら認知症かもしれない」という視点を持っていただくことで、早期発見につながります。
また、一人暮らし高齢者の認知症は早期発見が難しいですが、ふじみ野市には認知症初期集中支援チームが設置されていて、認知症が疑われる人のお宅を訪問したり、ひとり歩き高齢者の通報があった場合には、適切なサービスにつなげたりするなどの取り組みを行っています。高齢者あんしん相談センターを含め、街ぐるみで認知症の人に気付くセーフティーネットがふじみ野市にはできていると思います。

▽認知症への理解
本人に認知症であると指摘し、理解を求めることは、逆に認知症の症状をさらに悪化させると考え、家族の人は指摘するのではなく、理解することが必要です。
人が変わったようになってしまったり、温厚な人が急に怒ったりするかもしれませんが、それらは、その人自身が悪いのではなく、認知症という病気によるものだと思ってください。その人の根本的な部分は何も変わっていなくて、逆にその人の一番大切なもの、一番愛しているものだけが残っているので、それを理解し、寄り添うことを考えてあげることが一番大切だと思います。

◆認知症を知る─認知症の症状─
認知症には「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」があります。中核症状は治りにくいですが、行動・心理症状は治る可能性があります。時間経過とともに症状が進行しますので、早期発見と早期受診が重要で、周囲の人の理解や関わりも大切です。

[認知症と認知機能障害の進行]

▽中核症状の例
・記憶障害…覚えられない、すぐ忘れる、一般的な老化によるもの忘れのように経験したことの一部ではなく全体を忘れる
・見当識障害…現在の時間や季節感、どこにいるかといった基本的な情報の把握が難しくなる、進行すると周囲の人との関係が分からなくなる
・理解・判断力の障害…考えるスピードが遅くなる、複数のことを処理できなくなる、予想外のことに混乱しやすくなる
・実行機能障害…計画を立てて段取りをすることが難しくなる(冷蔵庫にある食材を忘れて同じものを買ってきてしまったり、買った食材を忘れて目に入った別の食材で食事を作ったりする)

▽行動・心理症状
幻覚・妄想やうつ状態、ひとり歩き、もの盗られ妄想などがあります。性格、環境、人間関係などの要因によって精神症状や行動に支障が起こります。

○認知症ガイドブック
ことし4月に認知症に関する基礎知識や市の取り組み、問合せ先などをまとめた「認知症安心ガイドブック第5版」を発行しました。市ホームページから閲覧できますので、ぜひご活用ください。

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