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自治体の皆さまへ

【特集】マイクの向こう側のあなたへ 想いを声にのせて(1)

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埼玉県富士見市

■目の代わりに「声」で情報を伝える「音訳」
「声の広報『富士見』」という、広報の〔音訳版〕があることをご存知ですか。
音訳とは、視覚から情報を得ることが困難な方のための「文字の音声訳」のことです。
今、まさにこの広報紙の情報を声にのせて届けてくれているのが、市民ボランティア団体の富士見市音訳グループ「かたりべ」です。
「かたりべ」では現在20人が活動し、年齢層も幅広い皆さんが活躍しています。80代でも意欲的に音訳を学んでいる方や、仕事をしている方、ほかのボランティア団体でも活動している方がいます。
音訳では聞き手に内容が正しく伝わるように読むことがとても大切です。そのため、読み方やアクセント、写真の伝え方などの下調べや、音訳の質の向上のための研修にも時間を惜しみません。
どうすればより正確に伝えることができるのか、日々研鑽(さん)する皆さんは絶えず音訳を聞いている方を想いながら、録音マイクに向かっています。
市では、視覚障がいのある方にも等しく情報を得ることができる機会を確保するため、昭和58年の「かたりべ」発足以来、広報『富士見』をはじめ、市議会だよりや公民館だより、選挙公報などの音訳を依頼しています。
また、「かたりべ」では音訳を利用している方の依頼に応じた音訳も行っています。
音訳や「かたりべ」の活動に興味のある方は、音訳ボランティア入門講座(本紙4ページ参照)に参加してみませんか。

■[INTERVIEW]富士見市音訳グループ「かたりべ」代表 大下 清美さん
◇利用者さんの「声」が活動の原動力
私が平成14年に「かたりべ」に入会したきっかけは、読むことが好きだったからという理由でした。
音訳を聞いてくださっている利用者さんとの交流会に初めて参加したとき、自分の拙い音訳でも役に立っていると知り、とてもうれしかったことを覚えています。
音訳活動を通じて、年齢を超えた方々との交流や研修など、多くの出会いと学びを得て、自分自身の世界が広がりました。音訳者としてさまざまな方々に育ててもらったなと実感しています。
ただ、20年たった今でも音訳は奥深いもので、その難しさと面白さを感じています。力を込めて講義のように読み上げると、聞いている方も疲れてしまうでしょう。「話すように読む」ことが大事だと教わりましたが、これがとても難しく、悩むことも多々あります。
それでも活動を続けることができているのは、ひとえに利用者さんの声が私たちの支えとなっているからです。
コロナ禍では従来の活動が難しくなり、会の存続を迫られる危機的状況もありました。利用者さんからの「いつも身近な情報を届けてくれてありがとう」という感謝の声は、苦境の中、会員一同とても励みになりました。
今はAIの発達により、音声読み上げソフトなどを使えば音訳と同じように情報を得ることができ、人の「声」で行う意味を考えることもあります。
それでも、私たちの音訳を心待ちにしてくださる利用者さんに「伝えたい」という確かな想いが声にのる音訳こそが、人間らしさであり、AIにはない魅力ではないかと思います。利用者さんへの想いを持ち続けながら、これからも活動していきたいです。

■声の広報『富士見』を聞くには
◇市ホームページで聞くことができます
市ホームページ「声の広報『富士見』」に音声ファイルを掲載しています。

◇音声DAISY(デイジー)版を貸出ししています
市内図書館でDAISY版(再生に専用の機械またはソフトウェアが必要です)を貸出ししています。

※音訳を希望する方や「かたりべ」の活動に興味のある方は、富士見市社会福祉協議会(【電話】049-254-0747)にお問い合わせください。

問合せ:秘書広報課
【電話】049-256-9535

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