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自治体の皆さまへ

【新春対談】子どもたちが持つ無限の可能性-未来を切り拓く教育によるまちづくり-(3)

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埼玉県富士見市

市長:コロナ禍で人と人とのつながりやコミュニケーションが薄れてきたなかでも、行政として施策や事業を行う上では、問題解決に向けコミュニケーション能力が必要であると職員にも常々話をしています。ちょっとした出会いが大きなネットワークにつながることもあり、例えば教育分野では皆さんの力をお借りすることができ、私は人とのつながりに恵まれているなと感じています。また、社会とのつながりについて触れていただきましたが、長年水害に見舞われ防災に力を入れている地域では、訓練に中学生ボランティアが参加しており、頼りにされています。またここ数年、地域のお祭りなどに子どもたちがボランティアとして参加してくれることも多く、子どもたちが社会やまちの仕組みを知るための良い効果が全市的に広まっていると感じています。
中先生による「いのちの授業」では、出産立ち会いを経験してきた助産師ならではの講話や、実際に赤ちゃんと触れ合う体験などを通じて、命の大切さを学ぶことができるものになっています。子どもたちの自尊感情を高めることについてどのようにお考えですか。

中:「いのちの授業」を進めるなかで、「生きること」を伝えるには「亡くなること」も伝えるべきではないかという考え方の転換期があり、授業を考える現場の先生方の苦労を伺っていました。私には助産師として、生まれてきたばかりの赤ちゃんの最期を見届けなければならなかった経験があります。そのとき救えない命があることをまざまざと感じ、「たくさんのお母さんと赤ちゃんを救う」という助産師を志したときの想いが打ち砕かれ、助産師になった意味が分からなくなっていました。ちょうどその時期に「いのちの授業」が始まり、救えない命もあることを伝える機会をいただきました。生徒から「みんなが生まれてこられるわけじゃない、生まれてきた自分ってすごいんだ」という感想をもらったとき、あのとき報われなかった自分の気持ちを振り返り、命の大切さを伝える意味を改めて感じました。
市の教育行政方針に「いのちの授業」を掲げていただいたのをきっかけに、市民としても富士見市の役に立てればと、授業を通じた自尊感情の向上について研究を進めました。男子生徒に若干の自尊感情の向上が見られただけではなく、富士見市の子どもたちは自尊感情の数値が全国平均よりも高く、その背景にはソーシャルキャピタルが関係していることが分かってきました。地域と子どもたちがつながっている富士見市には、自尊感情を育める土壌があることを研究結果も示しています。

市長:中先生にはこれまで長きにわたり富士見市の教育に携わっていただいており、研究では自尊感情に加えて信号を守るなどの順法精神が高いという結果もありました。また、富士見市ではソーシャルキャピタルという点でも、子ども食堂や通学時の見守り活動などをはじめ、地域の方々の協力をいただいており、そうした活動が子どもたちの良い成長につながっていることが大変うれしく思います。
私は、子どもたちには元気に育ち夢をつかんでほしいと思っており、それに携われる職にいることは幸せだと感じています。お三方の力を借りることは、学校の先生方の力にもなり、より良い教育の環境を整えていくことができると期待して、今後もさらに邁進(まいしん)してまいります。

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