◆相続登記の申請義務化が始まりました
令和6年4月1日より、相続登記の申請の義務化が始まりました。
相続登記については、相続人が自己の権利を守るため、相続人の責任において行われるものとして長らく扱われてきました。
しかしながら、登記申請に手間や登録免許税がかかることから申請が進まず、なかには相当の長期間に渡って放置してしまい、その間にねずみ算式に相続人が増え、ますます手が付けられなくなってしまうという事例も起きていました。
その結果、不動産登記簿を見ても所有者がわからない土地(所有者不明土地)が増え、今やその面積は、全国で九州本島の大きさに匹敵するともいわれており、今後、高齢化のさらなる進展による死亡者の増加により、ますます深刻化していくと危惧されています。
所有者不明土地とは、不動産登記簿を見ても所有者が直ちに判明しない土地、所有者が判明してもその所在が不明で連絡が付かない土地(所有者が住所変更の登記をしていない土地)とされています。
所有者不明土地の増加により、所有者調査に膨大な時間と費用が必要となり、公共事業の用地取得が円滑に進まなかったり、民間の土地取引が阻害されたり、土地が管理されずに放置され、隣接する土地に悪影響が及ぶなど、様々な問題が生じる事態となっています。
小鹿野町も例外ではなく、放置された土地に生えた木が自身の土地に侵入してきた、放置された空き家が朽ちてきた等の相談がしばしば寄せられ、行政の現場では対応に苦慮しています。また、建設課の地籍調査、税務課の固定資産税徴収等に重大な支障が生じてきています。
これらの状況を受けて、国は法改正を行い、不動産登記制度の見直し等を行いました。
相続登記の申請の義務化については、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなればならないこととされました。また、正当な理由がなく義務に違反した場合は、10万円以下の過料が科されることになりました。
この相続登記の申請義務化にあたり、法務局、司法書士会、土地家屋調査士会ではセミナーや相談会を開催しています。また、町で開設している法律相談や、埼玉司法書士会秩父支部による登記・法律相談で相談することもできます。
不動産登記は、自分や子孫の権利を守るうえでも大切な登記です。相続登記が進むよう相続登記の免税措置も拡大されています。相続登記がお済みでない方は、この機会に、専門家にご相談なさってはいかがでしょうか。
小鹿野町長 森 真太郎
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