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〔世界農業遺産認定〕武蔵野の落ち葉堆肥農法(1)

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埼玉県川越市

埼玉県武蔵野地域(川越市・所沢市・ふじみ野市・三芳町)の伝統的な農法である「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が、国連食糧農業機関(FAO)から関東地方では初めて「世界農業遺産」に認定されました。

■若手農業者にインタビュー
落ち葉堆肥農法を実践している若手農業者の大木洋史(おおきひろし)さん、鳴河一成(なるかわかずなり)さん、戸田大輔(とだだいすけ)さん。今後の落ち葉堆肥農法を守っていく後継者の3人にお話を伺いました。

◆世界農業遺産に認定された感想を教えてください
大木さん:世界農業遺産に認定されるためにずっと活動していたので、その成果として認定していただけたのは素直に嬉しいです。
鳴河さん:世界農業遺産に認定されたからには、それを維持していかなければいけないと思います。また、地域のブランドを作る上ではメリットになるとも考えています。
戸田さん:落ち葉堆肥農法が一般に認知されることで「里山を残そう」という機運が高まれば良いなと思います。

◆落ち葉堆肥を使うとどのような効果がありますか
大木さん:落ち葉堆肥は栄養価が高いわけではないので、あくまで土づくり、つまり「畑を良くする」ために入れるものです。農家はそれぞれ土づくりにこだわっていますが、なかなか消費者に伝わりにくい。「落ち葉堆肥を使っている」というのはイメージしやすいため、説明する上での利点だと考えています。また、実際に野菜を食べた方から「美味しい」という声もいただいています。
鳴河さん:雑木林には、畑を良くする菌やそのエサが豊富です。微生物の多様性が保たれている状況のものを堆肥として畑にすき込むことで、畑を豊かにすることができます。昔の人の知恵ですが、理にかなっていますよね。
戸田さん:色々な菌がいる方が病気も出にくくなるので、良いものができると思います。

◆今後の意気込みを教えてください
大木さん:いまある林の落ち葉を活用できることは有効だと思いますし、むしろ活用しない手はないと思いますので、ぜひ続けていきたいです。また、落ち葉堆肥農法を次世代に残すためには、もっと価値を上げていかなければいけないと考えています。将来、子どもたちが就職を考えるときに農業が選択肢の一つとなることを願って、落ち葉堆肥農法の活動を続けていきたいと思います。
鳴河さん:世界農業遺産の認定は、里山の景色など、地域の環境や江戸時代から続いている文化などを守り伝えていくために非常に意味があり、自分たちが農業を続けていく上での励みにもなります。また、生産者としてのPRにおいても強みになるので、できるだけこの落ち葉堆肥農法を残し、伝えていきたいです。
戸田さん:実際に開発されてしまったところを見ると、もし自分が農家を継いでいなかったら、今の里山の風景は失われていたと思います。ふるさとの風景がなくなってしまうのは悲しいですから、昔からの風景をできるだけそのままの状態で残したいと思っています。

■世界農業遺産
世界農業遺産(GIAHS(ジアス))は、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域を認定する制度のことで、国連食糧農業機関(FAO(ファオ))が認定します。
世界で24か国78地域、日本では15地域が認定されています(令和5年7月現在)。

◆認定基準
申請地域は、世界的な重要性や申請地域の特徴、保全計画に基づき評価されます。FAOが定める認定基準は、
(1)食料および生計の保障
(2)農業生物多様性
(3)地域の伝統的な知識システム
(4)文化、価値観および社会組織
(5)ランドスケープおよびシースケープ
の特徴の5つです。

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