監修:埼玉医科大学総合医療センター神経精神科教授・吉益晴夫(川越市自殺対策連絡会議議長)
新年度がはじまって1か月。進学や就職、クラス替えや職場の異動、引っ越しなど生活環境に大きな変化を経験された方も多いのではないでしょうか?
変化による適度なストレスは、人間的な成長を促すものです。しかし、変化が重なりストレスが過剰になると、心の不調をまねくだけでなく身体の病気のきっかけになることがあります。
自身の心の状態をチェックし、心身を健康に保つようにしましょう。
■心の健康状態をチェックしてみよう
この1か月間を振り返り、以下の状態が続いていないか確認してみましょう。
(1)気分が沈んで憂ゆう鬱うつだ
(2)朝、気持ちよく起きられない
(3)何に対しても興味が持てない、勉強・家事・仕事が手につかない、やる気が出ない
(4)寝つきが悪い、眠りが浅い
(5)体がだるい、なかなか疲れが取れない
(6)なんとなく不安でそわそわする
(7)食欲がない
(8)肩がよく凝る・腰がよく張る
(9)集中したり決断したりすることが難しい
(10)毎日、充実感がない
(11)人に元気がないと言われる
(12)知っている人のいない場所に行きたい、消えてしまいたい、いなくなりたい
(13)お酒の量が増えた
たくさんあてはまっていたり、特に(3)や(12)にあてはまっていたら、一人で抱え込まず、心の相談窓口や精神科医療機関に相談しましょう。
◎チェック数に関わらず、自分が「苦しい」「学校に行けない」「仕事ができない」と感じるときも相談しましょう。
■「心の相談窓口」について知っておこう
さまざまな相談窓口があります。
◇保健予防課(川越市保健所内)
【電話】227-5102
(平日午前8時30分~午後5時15分)
◇埼玉県こころの電話(埼玉県立精神保健福祉センター)
【電話】048-723-1447
(平日午前9時~午後5時)
◇いのちの電話((社福)埼玉いのちの電話/(一社)日本いのちの電話連盟)
【電話】048-645-4343
(24時間・無休)
【電話】0120-783-556
(午後4時~9時、毎月10日は午前8時~翌午前8時)
◇#いのちSOS(NPO法人自殺対策支援センターライフリンク)
【電話】0120-061-338
(24時間)
◇よりそいホットライン((一社)社会的包摂サポートセンター)
【電話】0120-279-338
(24時間)
◎その他専門の相談窓口やSNSによる相談もありますので、市ホームページ等で最新情報をご確認ください。
■「市内の精神科医療機関」について知っておこう
保健予防課【電話】227-5102でも案内できます。
■「その場から離れる」「逃げる」ことも選択肢
日本人はストレスが大きいときに「その場から離れる」「逃げる」という選択肢を取りたがらないといわれます。しかし、学校生活や仕事がつらいと思ったときには、学校や仕事を休むなど「その場から離れる」「逃げる」ことも心を健康に保つための有効な手段の一つです。
■「心を健康に保つ生活習慣」を実践しよう
生活習慣の改善は、心の健康状態の改善につながります。
◇睡眠
睡眠不足は、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患や、認知症、うつ病など精神疾患の発症リスクを高め、死亡リスクも高めるとされます。睡眠時間については、「成人では6~8時間」(但し高齢者は寝床にいる時間を8時間未満とする)、「小学生は9~12時間」、「中高校生は8~10時間」の確保が推奨されています。
良質な睡眠につなげるためには、日中に日光を浴びる(体内時計の調整)、夜間にスマートフォンの光を浴びない、就寝1~2時間前に入浴する、寝室は暗く静かな環境にすることなどが有効とされています。
◇食生活
主食・主菜・副菜が揃ったバランスのとれた食事を心がけるとともに、野菜摂取量の増加(350g/日)や果物摂取量の増加(200g/日)、食塩摂取量の減少(7g未満/日)が推奨されています。
また、睡眠を改善する観点では、朝食をしっかりと摂り、就寝直前の夜食を避けることが重要です。
◇運動
運動量が多い人は、少ない人と比較して2型糖尿病、循環器病、がん、ロコモティブシンドローム、うつ病、認知症などの発症・罹患リスクが低いとされます。
歩数が増えると病気にかかる割合や死亡率が減るという傾向にあることから、「20~64歳では一日8,000歩」、「65歳以上では一日6,000歩」を歩くことが推奨されます。
睡眠を改善する観点から、ウオーキングやジョギングといった有酸素運動や、ダンベルを用いた筋力トレーニングが有効とされます。
◎規則正しい生活習慣を実践し、日中の活動と夜間の睡眠にメリハリをつけることが重要です。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>