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埼玉県熊谷市

■長唄の美しさを継ぐ人でありたい
三井(みつい) 千絵(ちえ)さん
長唄唄方/一般社団法人唄結び理事
(熊谷市出身)

◆長唄(ながうた)、唄方(うたかた)とは
長唄は三味線(しゃみせん)音楽の一つで、歌舞伎のバックミュージックとして発展した文化です。江戸時代より庶民の娯楽として普及し、現在もなお親しまれています。「江戸時代のJ‒pop」と捉えていただければ分かりやすいでしょうか。長唄は、三味線を弾く人と唄う人に分かれていて、私のように唄を専門にする人を「唄方」と呼びます。

◆長唄には、心震えるロマンがある
長唄にはロマンが詰まっていると思っています。唄を通してその時代に想いを馳せながら、当時生きていた人たちの考えや、言葉としての美しさに触れると心が震えるんです。明治時代に作られた「元禄風花見踊(げんろくふうはなみおどり)」という長唄には熊谷で花見をする一節がありますが、みんなでワイワイしながら、豪快にお酒を飲むシーンなども出てきます。そんな風に、先人たちが確かにここで生きていたという証と共に、細かな情景が目に浮かんでワクワクした気持ちになるんです。

◆歩んできた道と、積み重ねてきた想い
母が日本舞踊の師範だったこともあり、幼少期より日本舞踊を始め、小学校1年生の頃に初舞台を経験しました。この日本文化を感じる環境が身近にあったことと、小さい頃から歌うことが大好きだったことが、私のルーツだと感じています。ただ、最初から長唄の魅力に気付いていたわけではなく、「何が面白いんだろう」と思った時期もありました。でも、だんだん三味線を弾くのが楽しくなって、長唄の奥深さにも気付いてきて、いつのまにか「この魅力を伝えたい!」というくらい夢中になっていました。
長唄も含めて、日本文化に触れる機会ってなかなか無いと思うんですよね。でも、例えば外国の方に日本のことを紹介するときに、自国の文化や伝統を伝えられないなんて悲しいし、将来を担う子どもたちにはそういう思いをさせたくないんです。だから、それを伝承していけるようにと思って活動しています。

◆これから先のこと
私はこの日本の美しさを持った長唄を「継ぐ人」でありたいと思っています。手探りの道なので大変なこともありますが、少しずつ共感してくれる人もいますし、何より自分が好きな長唄を人に伝えたいという思いがあります。今は市内の幼稚園で子どもたちに長唄を伝えたりしていて、今年の5月12 日には妻沼のさわた屋さんで演奏会も開催する予定です。ぜひ一度聞いてみてください。伝統の「うちわ祭」がある熊谷の皆さんには、長唄の魅力がきっと届くと信じています。

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