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(特集)狭山茶2.0~進化していく狭山茶~(3)

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埼玉県狭山市

■狭山茶=緑茶だけじゃない、紅茶で楽しむティータイム
国産の茶葉を使った紅茶「和紅茶」。緑茶のイメージが強い狭山茶ですが、同じ茶葉を使った紅茶の生産も増えています。和紅茶はインドやスリランカなどの海外の茶葉に比べ、渋みや苦みを感じさせない優しい味わいが特長です。昨年、和紅茶の大会で賞を受賞した菅野さんが教えてくれた、和紅茶の魅力とは?

◇日本の品種らしいおいしさが光る「和紅茶」
日本で栽培した茶葉で作られる紅茶を「和紅茶」といい、狭山茶の産地で作られた和紅茶は「狭山紅茶」と呼ばれます。お茶の葉は、発酵させなければ緑茶に、発酵させると烏龍茶や紅茶になるのですが、茶樹の種類によって向き不向きがあります。
茶樹の種類は大きく2種類に分かれます。1つはアッサム種。葉が厚く大きめで、渋み成分を多く含みます。もう一方の中国種は葉が薄く小さめで、渋み成分をあまり含みません。アッサム種は香りも味わいも強いので紅茶向き、中国種は繊細な香りで味わいがまろやかなので緑茶に向いているんですよ。そのため緑茶用の茶葉を紅茶に使うとなると味が優しすぎてしまうのですが、その優しい味わいこそが和紅茶の特長になっています。飲み疲れせず、ほのかな甘みや柔らかな香りを味わえるのは和紅茶ならではです。

◇緑茶品種を使い、味を究める
私の園で代々育てている茶樹は緑茶用のもので、製造も緑茶がメインです。主に、旨味(うまみ)が多く若芽の爽やかな香りを持つ一番茶は緑茶に、太陽の光をたくさん浴びて育ったキレのある味わいの二番茶は紅茶にしています。近年では、一番茶の一部も紅茶に使っています。茶葉を発酵させることで、水色(すいしょく)が緑色から褐色に変化し、紅茶特有の渋みやコク、香りが増していきます。緑茶品種の中でも香りが特徴的であったり、渋みが強かったりする個性的な品種から紅茶作りを始め、今では緑茶品種にしか出せない味わいを生かした和紅茶を作るために研究を続けています。

◇ライフスタイルごとに選べる
紅茶を製造している茶園では、育てている茶樹の品種や地域の環境、製茶時の発酵度などの条件もさまざま。和紅茶には爽やかな香りや旨味を持っていたりするものも多いんですよ。香りも柔らかで、花や甘い蜜のような味がする品種もあります。和紅茶は自然な甘みがあり渋みが少ないので、日本食や和菓子にも合うんです。時間帯や料理によって緑茶と紅茶を飲み分けるなど、ライフスタイルごとに味を選べるようになると面白いですよね。時季やトレンドにも対応できるようなバリエーションを狭山茶で展開していくと、もっと楽しめるかも。

◇紅茶としても愛される狭山茶に
緑茶品種「ふくみどり」の狭山紅茶が、令和4年に2つの大会で賞をいただきました。そのうちの1つ、国産紅茶グランプリでは、同じ部門のグランプリと準グランプリの両方が埼玉県生まれの緑茶品種を使った紅茶でした。これはこの近辺での栽培にも適している茶葉、つまり狭山茶が緑茶だけでなく紅茶としてもおいしさを評価される未来があるということです。まだまだ開拓の余地がある紅茶。まずは地元の人が愛し楽しんでいきましょう。茶園ごとに味わいは異なるので、飲み比べてみるのも楽しいですよ。どんなフレーバーがお好みか、気軽に聞きに来てくださいね。「おいしい」のお手伝いをさせていただきます。

〇狭山茶は緑茶だけではありません
同じ茶樹からさまざまな種類のお茶が作られています
*下図は代表的なもの

〇開発に関わった、おひとりさま用紅茶1杯分丸形ティーポット「茶鈴Tea-rin」は透明な素材を使っているので、茶葉が開く様子を見て楽しむことができます

≪Profile≫
菅野正さん
平成27年、異業種である料理人からやまとう栗原園に就農。2年間の試作製造の後、平成30年から本格的に紅茶作りを開始。紅茶は自園で生育する6種類の緑茶品種を使った単独茶葉のシングルオリジンと、ブレンドを販売している。「狭山紅茶:ふくみどり春摘みPremium」が、プレミアムティコンテスト2022紅茶部門で三つ星、国産紅茶グランプリ2022チャレンジ部門で準グランプリを受賞。

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