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(特集)「見る」言語で想(おも)いを伝える -1-

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埼玉県狭山市

多くの方は、声や聴覚を使った音声によるコミュニケーションを主としていますが、聴覚に障害のある方には、視覚的な表現で意思を伝える「手話」を使う方がいます。「手話」はろう者*が日常生活を送る上で大切な言語です。
市では、3月に「狭山市手話言語条例」を制定しました。“ろう者”と“聞こえる方”が互いに尊重し、支え合いながら生きていける地域社会の実現のために、まずは「手話」を知ることから始めていきませんか。
*…手話を第一言語として日常生活で使用する、耳の聞こえない方

■手話のあゆみ
手話は、手指や体の動き、顔の表情を使って視覚的に表現する言語です。ろう者にとっては生活に欠くことのできない、意思疎通を図るための手段として受け継がれてきました。
しかし、昭和の初期には手話の使用が認められておらず、ろう学校の教育では相手の口の動きを読み取る「口話法」が主流でした。そのため、ろう者は必要な情報を得ることなどが難しい状況で、不便さや不安を感じながら生活してきました。
年月を経て、平成18年、国際連合総会において「障害者の権利に関する条約」で言語に「手話等の非音声言語」を含むことが明記されました。日本では平成23年に障害者基本法が改正され、手話が言語に位置付けられました。

■令和5年3月に狭山市手話言語条例を制定しました
市では、市民の皆さんに手話が目で見る言葉であることや、手話で生活している方がいることを知ってもらい、障害のある人もない人も助け合いながら、笑顔があふれ、安心して暮らせるまち・さやまを目指すため、狭山市聴覚障害者の会や狭山市手話・要約筆記の会天の川と協議を重ね、「狭山市手話言語条例」を制定しました。

■インタビュー
手話は言語、だから手話で会話をしたい!
狭山市聴覚障害者の会・会長 岡野敏昭さん

私は生まれつき聴覚に障害があります。幼い頃は、ろう学校の幼稚部へ通い、手話や指文字*でコミュニケーションを取っていましたが、小学校は市内にある公立の学校を選びました。ろう者の学級はありませんでしたが、先生や同級生が指文字を覚えてくれて、勉強も友達付き合いも問題なく楽しく過ごすことができました。環境に恵まれていたと思います。
手話以外にも筆談や口話、近年では音声変換アプリなど、聴覚障害者とコミュニケーションを取る手段はたくさんあります。その中でも、私は手話で会話をしたい!と思っています。私たちろう者にとって、手話は皆さんが使う「日本語」と同等の、当たり前の言語だからです。
私が代表を務めるこの会は、聴覚障害者同士での情報交換や悩み相談の場となっています。聴覚障害者は情報を得ることが難しいため、聞こえる方とのコミュニケーションは欠かせません。会では、要望書を国や県に提出するほか、手話の普及活動として講座や体験教室の実施、「あいサポート運動」の研修の中で手話を教える活動などを行っています。条例の制定を機に、手話を言語の一つとして覚えてみようと思う方が増え、多様な言語を認め合う共生社会になっていったら嬉しいです。
*…日本語の五十音を指で表したもの

狭山市聴覚障害者の会
会員数:28名
活動日:1カ月に1〜2回程度(不定期)
活動場所:社会福祉会館

問合せ:【メール】sayama.deaf@gmail.com

■困っています、こんなこと
〇外見からは気付いてもらえない
聴覚障害は「見えない障害」ともいわれ、聞こえる人との違いが分かりづらく、周囲から気付いてもらえないことがあります。

〇音声による情報に気付かない
病院や銀行での呼び出しが聞こえないためその場にはいないと思われたり、駅や商業施設などの放送が聞こえず必要な情報が得られなかったりと、音声のみの情報の入手が困難です。

〇背後の状況が分からない
自動車の音や自転車のベルなどが聞こえず、危険を察知するのに時間がかかります。

■皆さんへのお願い
声を掛けても応答がない場合は「もしかしたら耳が聞こえづらいのかもしれない」と少しだけ想像力を働かせてもらうことで、次のコミュニケーションにつなげることができます。
手話ができなくても、状況に応じてジェスチャーや筆談、スマートフォンのメモ機能などを使ってもらえると助かります。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

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