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自治体の皆さまへ

〜つなぐ〜 中津市長 奥塚正典

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大分県中津市

■昔も今も
地方の首長の大事な仕事に要望活動があります。多くの市町村は、財源が乏しく、国や都道府県に対し事業や予算の要望を行います。中津市も自前で調達できる財源は、全体の3分の1程度ですから、7割近くは、国や県の補助金、国からの地方交付税などに頼らざるを得ないのです。
大規模な事業は、国や大分県に要望します。例えば、中津日田間の地域高規格道路は、三光から本耶馬渓までが国の事業、本耶馬渓から日田までは県の事業です。そのため機会ある度に国土交通省、財務省、大分県に関係者で足を運び、予算確保と早期完成を要望します。早速、佐藤新知事にも会ってお願いしました。
要望活動、以前は陳情と呼ばれていました。辞書によると、陳情とは「目上の人に実情や心情を述べる。特に中央や地方の公的機関、政治家などに実情を訴えて善処を要請すること」とあります。国と地方は対等・協調の関係にあるという地方分権推進法の精神から、今は上下関係を示唆するこの言葉は使わず、物事の実現を強く求める要望となります。さらに全国市長会は協議という法に定められた形で国に働きかけています。
市長としてはもちろん、県職員として、どれほど国に陳情や要望を行ってきたことでしょう。地方分権は昔に比べると進んだものの、「地方から東京詣(もう)で」の実情は変わりません。予算獲得や補助事業の業務に費やす地方自治体の時間と労力は膨大です。
地方分権には「3つのゲン」が必要。「権限(ゲン)=仕事の範囲と裁量」、「財源(ゲン)=自前で調達できる予算」、「人間(ゲン)=自治体の人材」です。自治体の仕事の幅は広がり、人材も育ってきていますが、肝心の「財源」は、依然として国に手厚く、地方の財政基盤は脆弱のまま。さすれば、どの自治体も国へと先を競います。歯がゆいことながら、要望活動は今日も続くのです。

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