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木綿(ゆふ)の山通信

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大分県由布市

今回は湯布院町にある市指定重要文化財の「山石原(やまいしばる)の禽獣(きんじゅう)供養塔」の紹介です。
凝灰岩を素材として作られたこの供養塔は、高さ120cm、幅28cm、厚さ22cmの大きなもので、碑面中央に「禽獣供養之塔」と刻まれています。人に対するものではなく、その碑面に彫り込まれた字のとおり禽獣(鳥や獣)を供養したもので、とても珍しいとされています。
この供養塔は、文化7(1810)年8月に山石原村の七草子次郎左衛門が64歳の時に建てたとされており「猪や鹿などの獣、およそ1,984頭の命を絶ったため、これを悔い、霊を慰めるために建てた」といった趣旨の銘文が塔身の背面に記されています。
この銘文から、七草子次郎左衛門は猟師として生計を立てており、狩猟対象となった動物たちを供養するためにこの塔を建てたことが分かります。
しかし、猟に出ても確実に獲物を仕留める保証はなく、何日もさまよい歩くことも珍しくなかった当時において、1,984頭という数は驚異的な数字であり、まさに名人の域に達していたと考えられます。そのため、この供養塔には自身の偉業を後世に伝える意味も加味されていたものと考えられます。
また、この1,984頭と半端な数字になっているのは、一つの理由があると考えられています。
当時、お腹に子を持った雌は獲物を増やしてくれるため、狩猟の対象としないことが猟師の暗黙の掟でした。しかしながら、仕留めた後にお腹に子を持った雌であることが分かったこともあったようです。その数を差し引いてこの数字を記し、実際は2,000頭を仕留めた記念碑としたのではないかと考えられています。
なお、この供養塔は日出生台演習場の中に建てられており、許可なく立ち入ることはできません。ご覧になりたい方は、社会教育課にお問い合わせください。

問合せ:社会教育課
【電話】097-582-1203

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