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木綿(ゆふ)の山通信

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大分県由布市

今回は庄内町にあるオダニの車橋の紹介です。

オダニの車橋は石造単アーチ橋で、庄内地域櫟木を流れる大分川の支流、間田川に架かっています。国道210号線を大分方面から庄内方面に向かい、櫟木トンネルを通過すると左手にキチセの給油所がありますが、そこから北に向かう小さな里道の先に、この石橋が所在します。

橋の長さ11・55m、アーチ径間5・7m、アーチの高さ4・2m、橋の欄干に当たる部分の石は、橋面に突き出した4本の棟石の上に据え付けられ橋面を広くとる工夫がされています。また、不規則な多角形の切り石を積み上げる「切り込みハギ」と呼ばれる技法により建造されており、橋の壁面は寸分の隙間もないように精巧に積み上げられています。

欄干には切欠きを設けて部材を結合させ、簡単に外れたり動いたりしないための工夫も見られます。

さらに、橋面に雨水がたまらないよう、この欄干と橋面との間にわずかな隙間を設けることで、水の逃げ道を確保しています。

江戸時代、この地域には湯平・庄内から挾間・大分方面に出るための往還(道路)が通っていました。人の交流はもちろん、府内藩への年貢の輸送路としても重要な位置を占めていました。

しかし、橋が出来る以前は谷底まで降りて間田川を渡り、再び谷を登らなければならないという難所でした。重い荷物を背負った人や馬が谷川へ降りたり登ったりする時に足をすべらせ、川に転落しけがをしたり、最悪の場合には死んでしまうといった事故が起こる、大変危険な場所でした。

このため、地元の庄屋であった三重野善司氏はこの窮状をなんとかしようと頑丈な石橋を架けることを決意し、嘉永元(1848)年9月に、この橋を完成させました。

令和2年(2020年)7月3日から4日にかけて激しい雨が降り続き、大分川流域では甚大な災害が発生し、人々の生活に大きな爪痕を残しました(令和2年7月豪雨)。この記録的な豪雨により石橋の欄干などが流失してしまいました。直後から地元の方々の「文化財を後世に受け継いでいきたい。」との熱意により、関係者一丸となって復旧をすすめ、令和5年3月に復旧が完了しました。こうして江戸時代から続く石橋の歴史を新しい時代へ引き継いでいくことができました。

問合せ:社会教育課
【電話】097–582–1203

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