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自治体の皆さまへ

人権ほっと(205)

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大阪府柏原市

「あなたのいる位置」
大阪教育大学
薮田 直子

はじめまして、私は大学で人権教育やダイバーシティ尊重について研究しています。
今月は私の担当授業内容から「マイノリティ」と「マジョリティ」という用語についてお話しようと思います。
マイノリティとは、社会的少数者や少数派を示す言葉で、反対の語句はマジョリティ、多数派になります。ただしこれらの言葉は、単なる数字上の多寡を表す言葉ではありません。女性は人口の約半分ですが、日本社会ではマイノリティと言えます。また海外に行けば外国人となり、立場は可変的です。1人の中にマイノリティの側面とマジョリティの側面があります。
私はマイノリティを、社会の中で声が届きにくい人、届きにくい位置に座らせられている人・集団だと説明しています。ある社会ではマイノリティでも、別の社会では、きちんと自分の声が届くということもあります。ですからマイノリティ・マジョリティは決定論的な固定されたものではありません。
ここから導き出されるのは、個人だけでなく、その背景となっている構造や社会のあり方を顧みることの重要性です。
例えば「マイノリティを理解する」と言う時、一体その人自身はどんな位置から話しているのでしょう?相手を知ることも大切ですが、社会の全体像や、文脈の中で捉えるようにしてみてください。あなた自身は今どんな位置にいますか?
もしあなたが今の社会で前の方に座っているなら、どうぞ振り向いて耳をすませましょう。もし後ろだと感じるなら、声をあげましょう。1人の声では届かないかも、という場合は、周りの人と連帯しましょう。全体を確認する勇気や声を上げる勇気になるのが人権の知識です。あなたの位置からできることを。この夏の読書にぜひどうぞ。『差別は思いやりでは解決しない―ジェンダーやLGBTQから考える』(神谷悠一著、2022年、集英社新書)

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