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名誉市民×市長 対談

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大阪府豊中市

豊中市長:長内繁樹
名誉市民:山田洋次さん(映画監督・脚本家)
市の名誉市民で映画監督・脚本家の山田洋次さんの90作品めの監督作となる映画「こんにちは、母さん」の先行上映会を8月24日、文化芸術センターで開催しました。
当日、舞台あいさつに訪れてくださった山田監督が、作品への思いや人とのつながりについて語ってくださいました。

■はつらつとした現代のおばあちゃん
(市長)前作「キネマの神様」に引き続き、先行上映会の実施、そして猛暑の中お越しいただきありがとうございます。
(山田)この暑さのことを「危険な暑さ」というそうですね。そんな“危険”な中、お越しくださった観客の皆さんには感謝しかありません。
(市長)先行上映会のチケットは即日完売でした。上映中は、どっと笑いの起こるシーンが何度かあり、皆さんが楽しんでくださっている姿を見ると、上映会ができて本当に良かったと思います。
(山田)それは、うれしいなあ。お客さんの生の反応こそが創作意欲へとつながります。
(市長)今回は、吉永小百合さんがおばあちゃんの役をされたことに驚きました。
(山田)吉永さんにおばあちゃんの役をしていただくことは初めてで憂慮しましたが、ご本人に相談したところ、快諾いただきました。彼女は、令和の時代のおばあちゃん像にぴったりだと思ったのです。活気があって、地域のボランティア活動に積極的に参加し、髪を染めておしゃれを楽しむ。そして、恋愛だってするような。
(市長)今風のおばあちゃんですね。
私の母は79歳で亡くなりましたが、それこそ70歳を過ぎて恋愛をしていると聞くと、ひっくり返って大反対していたと思います。そんな息子の気持ちにも大いに共感できるところがありました。
(山田)大泉洋さんが息子の複雑な気持ちを上手に代弁してくれましたね。私の母への感謝の気持ちもこの作品に込めました。そして、高層ビルで働き都心のマンションに暮らす息子、穏やかでのんびりとした下町で暮らす母との対比が描けたと思います。

■人情こそが暮らしやすさにつながる
(市長)下町の描写にはどこか癒やされるものがありました。親近感のある“お巡りさん”が、ボランティアの会議にも参加して地域の人たちと密接な関係を築く、本来あるべき姿ではないでしょうか。
(山田)下町での暮らしには、昔からの知恵と工夫が詰まっています。何かあったら支え助け合う、近所同士のセーフティーネットが自然と構築されているのです。ですから、そんな場所を捨てて隣近所とほぼ関わりのない高層マンションへ、憧れだけで住み替えることが本当に幸せなのかなと思うことがあります。
(市長)豊中は、昭和30年~40年代にかけて多くの人が故郷を離れて移り住んだ場所であり、その頃には一人で暮らしていても、ご近所さんと付き合うようなコミュニティーがありました。
(山田)私が豊中にいたのはそれ以前ですが、自宅の前で遊んでいて、けがをしたことがあり、それを見ていた隣のおばさんが顔色を変えて飛んできて抱きかかえてくれた記憶があります。また、母は真夏の暑い日に炎天下で働く大工さんへ冷たい水を届けていたことを覚えています。暮らしやすさとは、商店が充実していること以上に、地域とのつながりを大切にすること、人情があることではないかと思います。私にとっての豊中はそんな所です。
(市長)豊中には、監督の作品「男はつらいよ」シリーズの寅さんが生まれ育った葛飾に負けない人情があると思います。最近では、子ども食堂が多くできて、みんなで集まって朝食を一緒に食べる場もあります。食事をするだけではなく、何となく抱えている心の不安に気付いてもらえるなど、おなかを満たす以上の効果があるようです。
(山田)コロナ禍以降、集まることが難しくなり、お弁当を渡すだけになっている子ども食堂も多いと聞きます。ひとつの場所に集まれるのはいいですね。
(市長)気が早いですが、次回作の企画はもうありますか。
(山田)常にいくつかの構想はあります。具体的にはなっていませんが、豊中にある私の生家「赤い三角屋根の家」が映るロケーションができればいいなと思います。
(市長)それはぜひ実現していただきたい。そして、また先行上映会をさせていただければうれしいです。今日は、本当にありがとうございました。

■当日の様子はこちらからご覧ください
【HP】https://www.city.toyonaka.osaka.jp/joho/shoukai/meiyosimin/meiyosimin/yamada_yoji/konnitiwakasan2023.html
山田洋次さん:映画監督・脚本家
時代とともに移り変わる家族の姿を心情豊かにリアルに描いた作品を多く世に送り出している。市制施行80周年を記念し、平成28年(2016)に名誉市民に選定。

上映後の舞台あいさつでは、同作品の出演俳優・北山雅康さんとの撮影エピソードなどを交えたトークが繰り広げられました。

■「こんにちは、母さん」
劇作家・永井愛さんの同名の戯曲を映画化。現代の東京・下町に生きる家族が織りなす人間模様を描いた人情ドラマ。

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