文字サイズ
自治体の皆さまへ

【クローズアップ】チームオレンジ~認知症の人を支える地域の輪(2)

5/60

大阪府高槻市

■INTERVIEW 1
新阿武山病院
森本一成さん
専門は臨床精神医学、臨床てんかん学、老年精神医学。副診療部長

認知症とはどんな病気なのか。専門医に、症状や周囲の人ができることを聞きました。

◆信頼できる人と安心できる環境に
認知症は、さまざまな要因によって脳機能が低下することで、今まで出来ていたことがうまく出来なくなり、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態のこと。65~70歳で約2%の人が認知症に、そこから5歳年を経るにつれて、倍ずつ認知症になる確率が上がっていくと言われています。
代表的なのはアルツハイマー型と言われ、脳の中に異常なタンパク質が溜まり、正常な脳細胞が死んでいくもの。他にもレビー小体型、血管性などがあり、実は幅広いタイプがあります。具体的な症状の現れ方や進み方、その対策は原因となる病気によって異なる点もあります。不安になったときは早めに受診し、まずその病気がどのタイプなのかを見極めることが大事です。

▽ヒントで思い出せるか
加齢によるもの忘れなのか、認知症なのか、はっきり区別しづらいことが多いのですが、ポイントは「ヒントで思い出せるかどうか」です。認知症に特徴的な記憶障がいがある場合、ヒントを出されても、ある時間帯のことが脳からすっぽり抜け落ちてしまっているので思い出せません。
他にも時間や場所が分からなくなる見当識障がいも認知症の症状(中核症状)で、大半の人が経験します。
一方で、うつや強い思い込み、時に暴力的になるなど、人によって現れたり現れなかったりする症状もあります。これらは行動・心理症状と言われ、その人が置かれている環境や、身近な人の接し方によって、不安や混乱が強くなって出てきます。安心できる環境か、信頼できる人と居られるか、声かけの仕方が適切か、などが非常に大事になってきます(右ページ)。

▽自分らしく暮らし続ける
認知症になったからといって、すぐに何も分からなくなる、できなくなる訳ではありません。苦手なこと、うまくいかないことは出てきますが、病気とうまく付き合いながら自分らしく暮らし続けている人はたくさんいます。
認知症は誰もが当事者になりうる病気です。寿命が伸びて、今後さらに多くの人が認知症を経験すると考えられます。私たち一人一人が認知症と向き合い、まずは正しく理解することが大切です。
※「図 認知症の症状」は本誌をご覧ください。

■認知症の症状と周囲ができること
記憶障がいなどの中核症状がもととなり、本人の性格や周囲の人との関係などが影響して出現する症状を「行動・心理症状」と言います。ここでは4つの事例から、周囲の人ができるサポートをお伝えします。

◆症状…元気がなく引っ込み思案に
・自信を失い全てが面倒に
周囲が気付く前から本人は何かおかしいと気が付いています。家の整理や掃除ができなくなり、意欲や気力が減退したように見えます。
・将来の望みを失ってうつ状態に
能力の低下を強く自覚し、将来に望みをなくして、うつ状態になることも。

▽周囲ができること
自信をなくす言葉は避け、尊厳を傷つけないこと。また、それとなく手助けして成功体験に結び付けるサポートも大切です。

◆症状…妄想が強くなる
・しまい忘れから物盗られ妄想に
大事なものをしまい忘れたこと(記憶障がい)から「そばで世話をしてくれる人が盗んだ」という妄想に発展する場合があります。人に頼らず、自立して生きたいという気持ちから、自分が忘れるはずがない、忘れたことが受け入れられないという思いの表れです。

▽周囲ができること
訴えを傾聴する、一緒に探すなどしてみましょう。失くし物が見つかると落ち着くことが多いです。疑われている介護者が疲弊しないよう、心理的な支援が大事です。

◆症状…身の回りの動作に支障がでる
・排泄の失敗を例に
排泄の失敗は、本人にもショッキングなこと。原因は主に3つ。
(1)トイレの場所が分からなくなる
(2)服を脱ぐのに手間取る
(3)尿意・便意を感じにくくなる
原因を理解し対応すること、また本人のプライドを傷つけないことが大切です。

▽周囲ができること
(1)場所の見当識障がいが原因。トイレの場所を分かりやすくする、明かりをつけドアを開けっ放しにしておく
(2)着脱しやすく着慣れている服を選ぶ
(3)定期的にトイレに誘導する。

◆症状…行動がちぐはぐになる
自分のこと、周囲で起こっていることが正しく把握できなくなると、行動がちぐはぐになり、日常生活に支障が出てきます。例えば「ひとり歩き」は原因を考えて対応すると有効です。

▽周囲ができること
いつもの場所に行く時でも送り迎えをしたり、昼寝などで時間の意識をはっきりさせる。また家族だけでなく地域の見守りや、介護サービスの利用も重要です。

参考文献:認知症サポーター養成講座標準教材「認知症を学び地域で支えよう」

■CHECK
□認知症講演会 認知症を知る
ID:076965
申込順50人
森本医師が、認知症に関する最新情報をお伝えします。ぜひご参加ください。
日時:9/27(水) 14:00~16:00
場所:総合センター14階会議室
料金:無料
申込:9/4(月)~22(金)にウェブ申込、窓口、電話で

問合せ:福祉相談支援課
【電話】674-7171

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU