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自治体の皆さまへ

診療所だより-健康づくりのアドバイス-vol.99

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奈良県上北山村

上北山村国民健康保険診療所
医師浅香幸久

■マダニ咬傷
夏も真っ盛りとなり連日猛暑日を記録する毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。夏ということで十分な水分補給を行い、熱中症にも十分気を付けなければいけませんが、この季節多いものとして虫刺されがあります。
今年もムカデやハチなどに刺されたという方がいらっしゃるかもしれません。今回は虫刺されの中でも特に注意が必要なマダニ咬傷に関してお話したいと思います。

マダニの大きさは1〜2mmほどであり、野山に多く生息しています。住宅などにいるイエダニとは異なります。都市部よりは当村を含む山間部に多く生息するため、春先から秋ごろにかけてマダニに咬まれたということで診療所を受診される方が少なからずいらっしゃいます。まず重要なのはマダニに咬まれないことです。予防策としては、不用意に野山に入っていかないことです。無論、お仕事や農作業によりやむを得ずそういったところに入っていかなければならない方も居られると思います。その際には、是非とも長袖や長ズボンを着用し外界への肌の露出を極力少なくするようにしてください。首回りなどは露出しがちなので、タオルを巻いておくのも良いでしょう。また、ディートやイカリジンといった成分が入っている特殊な虫除けスプレーを体に振りまいておくことも有効です。
続いてそういった予防策を講じていたにも関わらず、やむを得ずマダニに咬まれてしまった場合の対応についてです。通常マダニに咬まれていても気づかないことが多いです。野山から帰ってきて家でゆっくりしていると、吸血して10〜20mmほど(吸血前の10倍以上)に膨れ上がった塊が皮膚にくっ付いているのを見つけることでしょう。その際に重要なのが、焦って振り払ってしまわないことです。中途半端にマダニの口(口器といいます)が体の本体からちぎれて、皮膚に残ってしまうと皮膚が化膿してしまったり、マダニの体液が逆流してしまったりするかもしれないため、見つけた場合にはすぐに医療機関を受診してください。またマダニに関してもう一つ注意が必要な点があります。それはマダニに咬まれた際にある種の病原体(ウイルスや寄生虫)をもらってしまうことがあるということです。SFTSウイルス(→重症熱性血小板減少症候群:SFTS)、リケッチア(→日本紅斑熱)、オリエンチア・ツツガムシ(→ツツガムシ病)などが代表例です。特にSFTSは致死率が高く、発症して治療を行わないと10〜30%死に至る病とも言われています。いずれにしてもマダニに咬まれた際には放置せず医療機関を受診いただくことが重要です。これから10月頃までが特に多い時期でありますので、村民の皆様におかれましては上記の点に留意いただきますようによろしくお願いいたします。

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