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地域医療支援センター・総合診療科が新設(1)

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奈良県宇陀市 クリエイティブ・コモンズ

奈良県立医科大学付属病院の総合診療科で教授として勤務されていた、西尾健治医師が令和5年4月より、市立病院地域医療支援センター長として就任いただいています。今回、新設された総合診療科についてお話を伺いました。

◆宇陀市立病院 地域医療支援センター長 西尾 健治
自治医科大学卒業。
奈良県で地域医療に9年間従事。小児科専門医を取得。
奈良県立医科大学で救急科の講師に就任し、11年間従事。救急科専門医を取得。
1998年 榛原町立榛原総合病院小児科部長。
2000年 ワシントン大学へ研究留学。
2005年 奈良県立医科大学高度救急センターにて准教授として着任。
2011年 総合医療学講座へ移り、奈良県立医科大学附属病院副院長、教授を務める。
多くの災害診療にも携わり、日本・海外の災害地へ派遣。

◇総合診療とはどのようなものでしょうか?
特定の臓器・疾患に特定せず、総合的に患者さんを診ます。何か身体に症状があったときに、「病院で診てもらいたいけど何科に行けばいいのかわからない」という経験をされたことはありませんか?病院は専門の診療科に分かれています。例えば「胸が痛い」という症状があったときに循環器科にいったらよいのか、呼吸器内科か、それとも整形外科にいったらよいのか、適切な判断をすることは簡単ではありません。また、確かに症状はあるのに色々な検査をしても異常は見られず、結局ストレスのせいとされたり、心療内科・精神科の受診を勧められたりと、原因が分からず不安な思いをされた方もおられるのではないでしょうか?そんなときには総合診療科を頼ってください。専門医は症状を診て、診断基準にあてはまるかどうかで判断しますが、総合診療科では病気自体ではなく、患者さんに何が起こっているのかを診ます。患者さんの気持ち、普段の生活環境、人間関係、性格、職業などの背景を読み取り、身体的、心理的、社会的側面から総合的に判断します。患者さんのお話を聞いてみると、本人でも気付かないようなところに原因があることがあります。それを豊富な経験と知識に基づいて診療していきます。病名を見つけるのではなくその方自身を知り何が起こっているかを診ると自ずと原因がわかってきます。総合診療科で治療・処置を完了することもあれば、原因を特定した上で専門医へ紹介し、最適な治療を勧めることもあります。専門医では疾患が専門外の場合、判断することが難しい場合もあります。特に高齢になると症状は慢性的で、複数の診療科目にわたっていることも多いです。様々な病院や他科を受診され、検査の結果異常なしと診断された方が、総合診療科に来て、原因がはっきりしたという事例は数多くあります。

◇なぜ新設されたのですか?
地域医療の充実のためです。医療を受けるとき、在宅医療、入院、外来などの方法がありますが訪問看護、ケアマネジャーとの連携が難しいことが課題となっていました。そこで地域の中核病院に総合診療医が入ることによって、地域の医療と個人の状態を把握し、各関連医療機関と連携して、グループで支える仕組みをつくりたいと考えています。

◇今後の展望
総合診療は特に地方や医師が不足している地域、高齢化が進んでいる地域でこそ求められています。特に奈良県では東和地区の医師不足が深刻です。奈良県立医科大学附属病院では、はじめは、一人で総合診療科を担当していました。少しずつ病床、医局員が増え、今では39人となりました。医局員は私にとって家族のような存在です。現在の総合診療科は奈良県立医科大学附属病院の総合診療科から派遣されている医師で構成されています。彼らに今後も指導を継続していきたいと思います。総合診療医の充足が地域医療の充実に繋がります。

◆地域に愛される移動診療車
◇病院診療、移動診療の充実
令和元年10月に「地域医療部」を開設しました。
宇陀地区医師会からもご理解をいただき、まずは訪問診療を開始しました。複数医師チームによる訪問診療の質を担保するため、ITで情報共有しつつ、病院外の関係者も交えて週1回の検討会を開催しています。訪問診療の患者さんが入院した場合には、病棟看護師とも密接な連携をしています。
令和4年5月には移動診療車を運用開始しました。X線撮影装置を備えた移動診療車は、おそらく日本初です。見方を変えれば、国内で試みられたことがない困難な事業とも言えます。広い市域に集落が点在する市にとって、貴重な戦力となります。一般診療のみならず、健診事業や予防接種、発熱外来など、すでに積極的な活用を開始しています。常設診療所にはない機動性を生かして、今後も医療活動を展開していきます。
移動診療車だけが充実しても、市民の付託に応えられません。病院診療、移動診療車の両方を充実させ、「宇陀に住んでいてよかった」と市民の皆さんに思っていただけるよう、健康と安心、そして幸せをお届けしていきます。

◆宇陀市立病院の診療科紹介
市立病院は、次の診療科を持つ病院です。
(1)内科外来(ペースメーカー外来、腎臓外来、禁煙外来、ワクチン外来)
(2)総合診療科
(3)外科
(4)婦人科
(5)整形外科(肩肘センター、ペインクリニック外来)
(6)耳鼻いんこう科(補聴器外来)
(7)眼科
(8)皮膚科
(9)脳神経内科
(10)泌尿器科
(11)小児科
(12)麻酔科
(13)精神科
以上の診療科を有し、5年平均年間のべ約9万人の外来患者さん約4万8千人の入院患者さんに来院いただいております。

◆特定検診・がん検診、人間ドック他紹介
市立病院は、次の検診等を行っています。
(1)各ご加入の保険による特定健康診査
(2)各がん検診(大腸がん検診、乳がん検診他)
(3)各ドック(日帰り人間ドック、心臓ドック等)
*各科での診察や各検診については市立病院までお問い合わせください。

問合せ:宇陀市立病院
【電話】82・0381

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