■C型肝炎ウイルス検査
肝臓は沈黙の臓器と言われて、肝炎などの慢性の病気になっていても自覚症状が乏しいため、病気が進行してから診断されることが多く、早期発見、早期治療が難しい臓器です。肝臓の病気の原因には、肝炎ウイルス、脂肪肝、薬物、アルコール、自己免疫などがあります。C型肝炎ウイルス(HCV)は1988年に発見され、HCV感染者の血液や体液を介して感染し、主な感染経路は輸血、汚染された注射器の使用、刺青などで、感染率は低いですが母子感染、性行為感染もあります。しかしHCV感染血液に直接触れなければ、一般の日常生活で感染する可能性はほとんどありません。HCVに感染すると、約20~30%の人はウイルスを体内より排除できますが、残りの約70%は持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、さらに肝がんに進行するといわれています。我が国のHCV持続感染者は、約90万人と推定され、肝炎発症患者さんは約30万人と言われています。しかし、HCVに感染していても、気が付いていない方もおられます。そのため国は全ての国民に少なくとも1回は肝炎ウイルス検査を受ける必要があると考えています。HCV感染は採血で、HCV抗体検査を行います。陽性なら精密検査で、血液中にHCV遺伝子があるかどうかを確認し、確定診断します。奈良県では、40歳以上の方にB型とC型肝炎ウイルス検査が市町村の検診で受けられます。近年、C型慢性肝炎、肝硬変治療は、新薬が開発され、治療効果が劇的に改善され、95%以上の患者さんにHCVの排除が可能となり、C型肝炎は治る時代を迎えました。奈良県の肝炎検診受診率は全国でかなり低いです。一度も肝炎検査を受けてない方や、肝炎検査の結果がわからない方は保健センター等にお問い合わせの上、肝炎検診を受けて下さい。
(奈良県医師会)
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